社会保障に経済効果ありと厚労白書08年原案で主張

 読売新聞、社会保障に経済効果…厚労白書08年原案より。

社会保障に経済効果…厚労白書08年原案


 厚生労働省がまとめた2008年版の厚生労働白書の原案が26日、明らかになった。


 社会保障関連の業務について、国民の暮らしの安全ネットという本来の役割とともに、高齢化に伴う需要増による経済波及効果があると分析しているのが特徴だ。医療や介護を経済活動を行う「産業」としてとらえた場合、経済活性化に有望な分野だとし、「社会保障個人消費を支え、経済社会の発展に重要」と強調している。


 白書は8月上旬に閣議に報告される予定だ。


 原案では、医療や介護、社会福祉などの産業について、需要増による生産の増加などが各産業の生産をどの程度誘発するかを示す「総波及効果」が、「全産業平均よりも高い」と指摘。精密機械や住宅建築産業などと同程度の経済効果がある、としている。
(2008年7月27日03時14分 読売新聞)


 各種白書が発表されている。Wikipedia白書を見ると、白書とは次のように定義されている。

 中央省庁が編集する印刷物で販売又は頒布するもののうち、内容が政治経済社会の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするものであること。 図書の形をとるものに限り個人名で編著されるものも除くので、定期刊行物やパンフレット類、法令解説書や統計調査報告書などは白書に含まれない。
 正式書名または通称に「白書」の名称を使用するものについては閣議了解を必要とする。
 なお、正式書名に「白書」の名称を使用しているものは13件(2008年5月時点)。


 厚生労働省:白書、年次報告等をみると、厚生労働白書、労働経済白書、「海外情勢報告」(海外情勢白書)、「働く女性の実情」(働く女性白書)、「母子家庭の母の就業の支援に関する年次報告」(母子家庭白書)、「ものづくり基盤技術の振興施策(ものづくり白書)」が含まれている。このうち、正式名称に白書を用いているのは、厚生労働白書、労働経済白書の2つであり、厚生労働省の責任でまとめる白書類としては最も権威が高い。


 平成19年度版厚生労働白書の要点は次のとおりとなっている。

(要点)


○ 日本の医療は、世界に誇れる国民皆保険制度を採用しており、その結果、世界最高水準の平均寿命や高い保健医療水準を実現してきた。
○ しかしながら、医療保険制度、医療提供体制、健康づくりにおいて様々な課題を抱えており、日本の医療は難しい舵取りが迫られている。
○ こうした課題を解決すべく、2006(平成18)年6月に成立した医療構造改革関連法は、生活習慣病予防、医療提供体制、医療保険制度に関する改革を総合的かつ一体的に行うもので、国民皆保険制度創設以来の大改革といわれるものである。
○ 今年の白書では、先般成立した医療構造改革関連法の円滑な施行や都道府県の各種計画の策定作業にも資するよう、医療構造改革の内容を解説するとともに、今後の日本の医療の進むべき方向を提示する。


 昨年度の厚生労働白書は、医療費削減を目指した医療構造改革関連法の特集ともいえる内容である。読売新聞の報道どおりだとすると、今年度の白書は、「医療や介護などの社会保障分野は、個人消費を支え、経済社会の発展に重要」と主張している。一年でこれほど主張が様変わりするのも珍しい。
 先日発表された平成20年度労働経済白書でも、「非正規労働者の増加と、成果主義賃金の導入」への批判を打ち出している。小泉構造改革路線によってもたらされた、医療崩壊ワーキングプア問題などの諸問題の解決が迫られている中、厚労省自身が政策変更を迫られている。