非正社員にも過労死、正社員でもワーキングプア

 昨日に引き続き、すかいらーく過労死問題を取りあげる。レイバーネット、すかいらーく契約店長の過労死を認定より。

すかいらーく契約店長の過労死を認定


全国一般東京東部労組の須田です。


昨日(17日)のテレビ(NHK・民放)や本日の朝刊各紙に大きく取り上げられた、すか いらーく契約店長の過労死認定について報告します。


外食大手「すかいらーく」(本社・東京都武蔵野市)の契約店長で昨年10月に 脳出血で死亡した前沢隆之さん(享年32)について、春日部労働基準監督署 (埼玉県)は長時間労働が原因の労災=過労死と認定しました。


昨日(7月17日)、前沢さんの母親・笑美子さんと妹の美保さん、遺族を支援 している私たち全国一般東京東部労組が厚生労働省で記者会見し、発表しました。 会見には4年前にすかいらーくの店長だった夫を過労死で亡くした中島晴香さん も出席しました。


前沢さんは高校2年(91年)から、ファミリーレストランすかいらーく」で アルバイトとして働いてきました。そのまま06年からは1年更新の契約社員と して、埼玉県の栗橋店で店長になりました。


遺族によると、店長になったころから長時間労働が常態化し、休みもほとんど取 れず、深夜に帰宅して早朝に出勤するという日々でした。通勤に使っていた車で 仮眠を取る姿も見かけられています。


ところが、会社のタイムカードなどでは40時間程度しか残業していないことに なっています。遺族が独自にまとめた残業時間では、倒れる直前の月から過去3 ヶ月の平均で月200時間を超える異常な残業を強いられていました。


春日部労基署も会社のタイムカードを採用せず、国の過労死の認定基準(残業時 間が月100時間〜平均80時間)を超えると認定しました。さらに労基署によ ると、時間だけではなく、重い責任を負わされて加重労働の傾向にある「店長」 という職務そのものを負荷要因にあげました。


今回の過労死事件は、極限まで社員の「非正規」化が進んだ結果、正社員だけで はなく「非正規」にまで長時間労働が及んでいる構造が浮き彫りになりました。 前沢さんは年収が200万〜300万円と「非正規」ならではの低賃金で、1年 単位という不安定な有期雇用でありながら、重い責任と加重労働だけは正社員並 みに押しつけられていました。


非正社員ワーキングプア、正社員は過労死」という分け方はもはや通用せず、 非正社員にも過労死が広がっています。ちなみに「正社員でもワーキングプア」 の実態も広がっています。


前沢さんの遺族と東部労組は近日中に、過労死認定を踏まえて、すかいらーくに 謝罪や補償などを求めて団体交渉を申し入れます。今後も前沢さん過労死問題へ のご注目とご支援をお願いします。


くわしくは私たちのブログ「労働相談センター・スタッフ日記」(http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/86ed9234ee02ea9a365d80991a8b280b)をご覧くだ さい。


 非正規雇用ワーキングプアの温床である。一方、失業を恐れて無理な労働を強いられる正社員は過労死の危険性と隣り合わせになっている。しかし、すかいらーく過労死問題をみると、現実はさらに深刻化している。非正社員にも過労死が広がり、正社員でもワーキングプアにとどめおかれる。
 労働条件の悪化はただ事ではない。ワーキングプア、過労死をなくすために運動を続けている全国一般東京東部労組の活動に敬意を表する。