後期高齢者特定入院料に関する厚労相の認識


 最後に、閣議後記者会見概要(H20.07.11(金)10:55〜11:15 省内会見場)より、後期高齢者特定入院料問題について。

(記者)
後期高齢者医療制度の特定入院基本料を策定して、今度の10月から脳卒中認知症等の重度の障害を負った人も包括化の範囲に含められるということで、事実上の診療報酬の減額になるのではないかということで、家族等から退院を迫られるのではないかというような不安の声が上がっているのですけれども、これについては、どのように受け止められていらっしゃいますか。


(大臣)
これは、ご承知のように、後期高齢者医療制度に伴って入った制度ではなくて、平成10年に「老人長期入院医療管理料」という形で入った制度で。要するに、これはもう前から療養病床等について言われているように、社会的な入院を少なくする、急性期で入った時には、そこでまずきちんと処置をして、後は回復のリハビリをやるということで。昨日実は、栃木県の大田原赤十字病院に行った時に、出口ですね、リハビリで受け入れてくださる所は少ないから、本当は早くそちらに行った方がいいのだけれども、急性期の病院で受けざるを得ないので、実を言うと入り口だけでなくて出口が問題ですよ、ということを昨日現地視察で良く分かったのですけれども、そういう問題があるわけです。ただ、基本的には、そういうことであっても、今おっしゃったのは非常に重度であって、どうしてもその病院で見てもらわないと駄目だということについて言うと、きちんとそれは運用の側面で見られるような体制はしたいと思いますから、ケースバイケースで対応できることはやっていくと、これは、出口が十分でなければどうしてもそこに集中しますので、是非そういう必要な医療サービスが受けられるような見直しが必要であればやりますので、是非ご安心していただけるように強調しておきたいと思っております。


 正直驚いた。後期高齢者特定入院料を取り上げているサイトは少ない。私のブログか、澤田石先生のホームページくらいである。以前、後期高齢者医療制度の破綻と後期高齢者特定入院料という時限爆弾というエントリーでも大問題であると指摘したことがある。しかし、後期高齢者診療料や、後期高齢者終末期相談支援料と比べて、マスコミが取り上げる機会が少なかった。
 しかし、厚労相後期高齢者特定入院料の本質についてズバリと聞く記者がいた。勉強しているマスコミもいることがわかった。舛添大臣も後期高齢者特定入院料が大問題であることを薄々感じている。退院先(出口)が問題であるということも認識している。しかし、その出口を断ち切ったのは厚労省自身である。
 2007年10月実施にむけて、重症脳卒中患者の病院からの追い出しが既に始まっている。後期高齢者特定入院料という診療報酬の非情さが知れ渡るのはまもなくである。