人質救出、現実は映画よりも劇的

 CNNニュース、FARC誘拐の15人を救出、大統領候補も コロンビアより。

FARC誘拐の15人を救出、大統領候補も コロンビア


約6年ぶりに解放された元大統領候補、イングリッド・ベタンクール氏(46)(CNN) 南米コロンビアのサントス国防相は2日、同国最大の左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」が2002年に誘拐し、6年以上にわたって人質としてきた元大統領候補のイングリッド・ベタンクール氏(46)ら15人を無事に救出したと発表した。


救出された15人の中には、2003年2月の飛行機事故でジャングルに放り出された3人の米国人も含まれている。


軍用機で首都ボゴタに到着したベタンクール氏は夫や母親と再会を果たし、「神が奇跡を運んできてくれた。完璧(かんぺき)な作戦を成し遂げたコロンビア軍を誇りに思う」と解放の喜びを語った。


サントス国防相によると、救出作戦はコロンビア軍が極秘に遂行した。まず、FARC内に潜入した兵士が人質らをコロンビア南部へ移動させるよう工作した。南部にはFARCの別部隊が展開しており、仲間のヘリコプターだと思わせて着陸させ、人質を救出する作戦だったという。


ベタンクール氏によると、2日午前4時30分ごろに起こされ、人質らが別の場所へ移されると聞かされた。命令されるままに移動したところ、2機の白いヘリコプターが着陸し、乗り込むよう促された。


ヘリコプターに乗っていた人物らは、チェ・ゲバラの似顔絵が印刷されたシャツを着ていたため、ベタンクール氏はこの人物らもFARCメンバーだと思ったという。


ところが、ヘリコプターが離陸して機内を見ると、これまで4年間にわたって人質らを監視していたFARCメンバーが目隠しされて裸で横たわっているのを発見。この後、機内の人物が初めて、「我々は陸軍の兵士で、あなた方は自由になった」と告げた。


これを聞いたベタンクール氏ら人質は、歓喜の声をあげて飛び跳ねたため、ヘリコプターが落ちそうになったという。


ベタンクール氏はさらに、この一連の救出作戦中、銃撃戦などは一切なかったと証言している。


米国人を含む人質が救出されたことを受け、米ブッシュ大統領が電話で、ウリベ大統領を祝福。米国防総省は数日前に、作戦の実施について連絡を受け、承認していたが、作戦には参加しなかった。


 人質救出の報道を聞いて、映画「プルーフ・オブ・ライフ」を思い出した。

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  あらすじ「プルーフ・オブ・ライフ」 より。

国際的な人質事件を専門に扱うプロの交渉人テリー(ラッセル・クロウ)は、会社の要請で南米の国テカラへ飛び、反政府ゲリラに誘拐されたアメリカ人技師ピーター(デイヴィッド・モース)に関する事件を扱うことになる。だが身代金の交渉を進める前に、経営危機に陥ったピーターの会社が保険をキャンセルしていたことが発覚。テリーはいったん事件を離れるが、ピーターの妻アリス(メグ・ライアン)の哀願に心を動かされ、交渉人仲間のディーノ(デイヴィッド・カルーソー)と共にピーターを救い出すと誓う。そして無線による身代金の交渉が始まった。持久戦が続く中、やがてテリーとアリスの間に愛が芽生えはじめる。むろんそれは許されない感情。燃え上がる恋の情熱をストイックに抑えながら、テリーは不屈の粘り強さで人質交渉にあたり、自らの責任をまっとうするのだった。


 民間人である交渉人が武器を手に人質奪還作戦を繰り広げるという、ある意味荒唐無稽な部分があったが、人質誘拐ビジネスが南米には現存し交渉人という職業さえある、ということは新鮮な発見だった。ゲリラの生態も詳細に描かれており、ストーリーに現実味があった。


 しかし、今回の人質救出事件は映画よりもずっと劇的だった。綿密な計画、大胆な実行、そして何よりも一滴の血も流れていないことに価値がある。歴史に残る事件となったことは間違いない。いかにもハリウッドが好みそうな展開であり、いずれ映画化されるのではないかと想像をふくらませてしまう。