社会医療法人の認定が今年4月より始まっている。Wikipedia、社会医療法人には次のように記載されている。
社会医療法人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
社会医療法人(しゃかいいりょうほうじん)とは、医療法人内の新しい区分の1つ。
医療法人が地域医療の主役を担っている現状は既に存在しているが、最近では、公益性の高い医療を担ってきた自治体病院が三位一体改革や地方財政の逼迫化により、赤字体質の慢性化という非効率的な状況、医療機関自体の閉鎖に陥ってきている。 そこで、今後は医療法人に地域医療の主役を本格的に担いつつ、医療法人の運営上の知恵を活かし、効率的に取り組めると考え、平成18年(2006年)に医療法を改正。平成19年(2007年)度より社会医療法人という新しい法人類型が創設されることとなった。
ただし、要件となる救急医療等確保事業を記載した医療計画の実施が平成20年(2008年)4月からとなったことや、公益法人制度改革が内閣府で検討中であったことから、平成20年(2008年)4月1日以降に都道府県の認定が始まった(平成20年3月31日に関連通知が発出。救急医療等確保事業に関する省令は、平成19年3月31日に既に発出された)
法人税の優遇措置は平成19年税制改正で長期検討項目とされており、特定医療法人でない限り一般の医療法人と同じ30%の法人税率が適用される。
社会医療法人の特徴としては下記の通り。
救急医療、へき地医療等公益性の高い医療を担わなければならない
自治体病院民営化の公募の際に一般の医療法人よりも有利になる
社会医療法人債を発行する場合、財務諸表監査が義務化
社会医療法人債(公募債)の発行が可能
収益事業、特養を除く社会福祉事業の運営が可能
自治体病院の遊休病床が優先的に割り当てられる
また、特別医療法人の受け皿としても機能することとなり、特別医療法人は発展解消のうえ、平成24年(2012年)3月に廃止される。
日本医療法人協会、医療法人制度のあらましに、医療法人に関する詳しい説明がある。
医療機関の類型は、現時点では次のようになっている。
- 「医療法人」
- 「国立」: 独立行政法人国立病院機構、国立大学法人、独立行政法人労働者健康福祉機構等
- 「公立」: 都道府県立、市町村立等
- 「公的」: 日赤、済生会、厚生連等
- 「社会保険関係法人」: 社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院、国民健康保険立等
- 「その他」: 私立大学医学部等の付属病院、医療生協等
- 「個人」
この間、全国の国立病院、国立大学病院は独立行政法人化が進んだ。一方、公立病院改革ガイドラインと医療崩壊(まとめ)でも紹介したように、公立病院改革が強力に推し進められようとしている。
医療法人については、次のように紹介されている。
このうち、
全国の病院の 約60% (分類中1位)
全国の診療所の 約30% (分類中2位。最多は「個人」の約50%)
全国の歯科診療所の 約13% (分類中2位。最多は「個人」の約85%)
を開設しているのは医療法人であり、わが国医療の根幹を支えております。
○医療法人の特徴=非営利性
法人は民法その他の法律によらなければ設立することができません。民間の法人の代表的なものは、いうまでもなく株式会社や有限会社等の会社ですが、医療はかけがえのない生命、身体の安全の直接関わるだけに、これら営利企業にゆだねるのは適当ではないとされました。
そこで、昭和25(1950)年、医療事業の経営主体を法人化することにより、医業の永続性を確保するとともに、資金の集積を容易にし、医業経営の非営利性を損なうことなく、医療の安定的普及を図るため、医療法により「医療法人」という法人類型が創設されました。
これを法律の上でみると、医療法では営利目的の病院、診療所の開設を許可しないこととしています(7条5項)。このため医療法人も営利を目的としないよう、「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」(54条)と厳格に規制されているのです。この非営利性が医療法人の最大の特徴です。
日本の医療には、2つの大きな特徴がある。一つは民間医療機関が中心となっていること、もう一つは国民皆保険制度であることである。そして、民間医療機関は、医療の公益性を考え、非営利であることを求められている。
二木立先生は、医療法人制度改革に対し、次のように肯定的に述べている*1。
(2) 医療法人制度改革
第2の医療法人制度改革については、同じく第5次医療法改正により医療法人の非営利性と公益性が強化されました。具体的には、公益性をより強めた社会医療法人が創設されるとともに、今後新設される医療法人はすべて「持ち分なし」の基金拠出型法人とされました。医療法人の持ち分問題が本の数年前までタブーに近かったことを考えると、これは大きな前進と言えます。これについては、厚生労働省の「これからの医業経営の在り方に関する検討会」とそれの後継組織「医業経営の非営利性等に関する検討会」の座長をつとめ、卓越したリーダーシップを発揮して「報告書」をまとめあげた田中滋氏(慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)の功績が非常に大きいと思います。
参照
この間、混合診療解禁、株式会社立病院の創設という新自由主義の立場からの医療制度改革が主張されてきたが、第5次医療法改正で実施されたのは、「医療法人の非営利性と公益性」強化の方である。米国型の営利主義医療でもなく、英国型の非効率的国営医療でもない道を、日本は選択した。
社会医療法人という制度自体、耳慣れない。事務幹部も頭を悩ませている。しかし、医療法人として非営利性を追求しようとするならば、社会医療法人化を目指さなければならないと法人トップは認識している。