派遣ユニオン ・ グッドウィルユニオンが声明

 派遣ユニオン ・ グッドウィルユニオンが声明〜26日に申し入れより。

2008年6月25日
グッドウィル許可取り消し・廃業方針に関する声明
派遣ユニオングッドウィルユニオン


失業する労働者の救済〜日雇い雇用保険の遡及加入で「あぶれ手当」の受給を!
違法派遣や賃金不払など違法行為を繰り返してきたグッドウィルに対して派遣事業許可取り消し等の厳しい処分が出されるのは当然のことである。


しかし、1995年以降、違法派遣を繰り返しながら拡大してきたグッドウィルを放置したばかりか、1999年の派遣法改正によりグッドウィルが行う事業を合法化して急成長に拍車をかけた国の責任は極めて大きい。


もっと早くこのような違法派遣を取り締まっていれば、グッドウィルで働く労働者が数千人、数万人規模まで膨れ上がることはなかったし、許可取り消しによって大量の失業者を生み出すようなこともなかった。


また、グッドウィルで働く日雇い派遣労働者が日雇い雇用保険に加入していれば、失業しても当面は「あぶれ手当」の受給により当面の生活を凌ぐことができたはずだが、厚生労働省は、グッドウィルが日雇い雇用保険に全く加入させていない状態を承知しながら、それさえも放置した。


許可取り消しまたは廃業により、雇用を失い、生活の道を立たれる労働者の救済が何よりも優先されなければならない。


グッドウィルの許可取り消しでは低賃金・不安定雇用の問題は解消しない−派遣法の抜本改正を!


現在、グッドウィルが行ってきた港湾業務などの違法派遣は、日雇い派遣事業を行う同業他社に流れていっている。


つまり、グッドウィルの派遣事業許可を取り消しても、日雇い派遣が抱える違法派遣の実態、日雇い派遣労働者が抱える低賃金、不安定雇用、労働災害の多発の問題は解決しない、


舛添厚生労働大臣も「日雇い派遣の禁止」を口にするようになったが、今後は、派遣法改正の内容こそが問われることになる。


まず、日雇い派遣に象徴されるような劣悪な働き方の拡大は、1999年派遣法改正による派遣対象業務の原則自由化がもたらしたものであり、派遣法制定当初の趣旨に立ち返って派遣対象業務は極めて専門性の高い業務に限定すべきである。


「登録型派遣」が不安定雇用を生み出している。仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ「登録型派遣」は原則禁止すべきである。ピンハネに歯止めをかけるためには、マージン率の上限規制も極めて重要だ。


そして何よりも、正社員と同じ仕事をしていたら同じ労働条件を義務付ける「均等待遇」の規定や、「細切れ契約」を禁止する規定など、派遣労働者の権利保護規定を盛り込むべきである。


グッドウィルユニオンは、グッドウィルの許可取り消し、廃業方針に関して下記のとおり声明する。



1、 グッドウィル及びグッドウィルグループに、違法行為を繰り返しこのような事態を迎えた責任を取るため、労働者の生活を確保するための賃金保障を求める。


2、 グッドウィル及びグッドウィルグループに、未返還のデータ装備費、集合時間からの未払い賃金、労災補償など、労働者に支払うべき賃金等の支払いや補償を求める。


3、 厚生労働省に、失業する日雇い派遣労働者を救済するため、日雇い雇用保険に遡及加入させるよう求める。


4、 労働者派遣法を抜本改正すべきである。具体的には…


(1) 低賃金・不安定雇用・労働災害の多発を生み出す派遣制度の規制
・ 派遣対象業務の専門業務への限定
・ 登録型派遣の原則禁止
・ マージン率の上限規制
(2) 派遣労働者の権利保護
・ 同じ仕事をしている派遣先労働者との「均等待遇」
・ 「細切れ契約」の禁止

以上


 違法労働行為を繰り返してきた人材派遣会社グッドウィルが廃業に追い込まれた。同じグループのコムスンも、昨年度、違法行為が原因で介護事業からの撤退を余儀なくされた。グッドウィルグループは、コンプライアンス遵守と全く無関係の企業であることが白日のもとにさらされた。


 最大の被害者は、派遣労働者である。低賃金、ピンハネ、日雇い雇用保険未加入、そして、事業撤退に伴う失業という苦しみを味わっている。


 派遣ユニオングッドウィルユニオンが主張するとおり、このような事態を招いた最大の原因は、1999年の派遣法原則自由化という規制緩和である。派遣会社だけが問題ではない。ましてや折口雅博グッドウィルグループ前会長だけを悪者にしても問題は解決しない。
 雇用流動化促進という名目で、人件費削減を進め、利潤をあげた派遣先企業の責任は重い。残念ながら、経済界の自浄作用は期待できない。大企業のモラル低下、政府の経済界への迎合ぶりは目も当てられない。偽装請負の総本山キャノンから経団連会長が出ている。その人物を経済財政諮問会議の民間議員として政府は尊重している。利害関係のある人物を政府の意思決定に関与させることは、利害の抵触にあたる。


 政府は、日雇い労働原則禁止という方向性を打ち出している。派遣労働者が求めるのは、派遣法の抜本的改正である。派遣労働者の権利を守る立場での改定が望まれる。
 ワーキングプアという言葉に象徴されるこの国の病理が、グッドウィル破綻という形で表面化した。一企業の問題と捉えず、労働者保護の観点からルールを見直さない限り、日本の未来はない。