5分ルール、調査データの不正流用で作成

 CBニュース、診療報酬改定めぐり、異なるデータ使用かより。

診療報酬改定めぐり、異なるデータ使用か


 4月の診療報酬改定で、医師が再診時に算定することができる「外来管理加算」の要件に“5分ルール”が導入されたことについて、厚生労働省中央社会保険医療協議会中医協)に提出した参考資料が、外来管理加算とは関係がない時間外診療に関する調査データを基に作成されたことが、全国保険医団体連合会(保団連)の情報開示請求で明らかになった。保団連は「外来管理加算の対象となる再診患者に対する診療時間に基づいておらず、調査データの不正流用だ」と指摘。一方、厚労省は「今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に実施した調査で、不正流用には当たらない」と説明している。保団連は6月12日までに、参考資料がどのように作成されたのかなどをただす質問状を厚労省に提出した。(山田 利和)


 保団連によると、“5分ルール”については、中医協の委員から「医療の質は時間では測れない」などの反発があった。しかし、厚労省の原徳壽医療課長が昨年12月7日の中医協基本問題小委員会で、「内科診療所における医師一人当たりの患者一人当たり平均診療時間の分布を調査したところ、平均診療時間が5分以上である医療機関が9割という結果だった」とした資料=グラフ参照=を提示。外来管理加算の時間要件(“5分ルール”)が決定した。


 しかし、資料では、平均診療時間が30分以上という医療機関が圧倒的に多く、疑念を持った保団連が情報公開法に基づき、厚労省に資料(グラフ)の出典開示を請求した。その結果、外来管理加算の対象となる再診患者に対する診療時間の調査は実施されておらず、厚労省2007年度に業者委託して実施された「時間外診療に関する実態調査結果」の数値を基に作成されたことが分かった。


 この調査は、「今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に」(厚労省)、岩手、愛知、京都、大阪、山口、熊本の6府県の一般診療所を対象に実施。調査に当たっては「厳重に取り扱うこととし、目的以外に使用することは一切ない」などとしていた。


 これに対し、保団連は「外来管理加算の時間要件という全く別の目的に使用したのは、明らかな不正行為と考えられる。しかも、厚労省の資料は、診療時間を患者数で割っただけの単純なもので、外来管理加算の算定要件に規定されている『診察時間』と著しく乖離(かいり)している。4月以降、全国の医療現場で大変な混乱が生じており、開示請求で根拠が崩れた“5分ルール”を、すぐに撤廃することを求める」などと、厚労省に強く抗議している。


 厚労省は「『時間外診療に関する実態調査』については、対象となる診療所に協力を依頼する際、今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に実施すると文書で示している。診療報酬改定の検討資料にしたもので、不正流用には当たらない」としている。


外来管理加算
 「入院中の患者以外の患者(外来患者)に対して、厚生労働大臣が定める検査ならびにリハビリテーション、処置、手術などを行わず、計画的な医学管理を行った場合は、外来管理加算を算定できる」などと定められており、今年4月の診療報酬改定で、外来管理加算を算定する場合には、おおむね5分を超える診察時間を要することになった。


更新:2008/06/12 20:05   キャリアブレイン


 保団連、厚生労働省、調査データを目的外使用。外来管理加算5分ルールで。保団連の情報開示請求により判明により詳細な記載と資料がある。スクープである。


 正直、ここまでするか、という気がする。調査内容を意図的にねじまげ、医療費削減のために使用する。一般社会で同じようなことが行われたら詐欺罪に問われる。学問の世界だったら、データ捏造に問われ学会から追放される。厚労省官僚は、良心の呵責に苛まされることはないのだろう。人間として最も大事なものを失った姿をみると哀れにみえてくる。