後期高齢者医療 東北医師会、新制度に反発

 河北新報後期高齢者医療 東北医師会、新制度に反発、より。

後期高齢者医療 東北医師会、新制度に反発


 75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度が始まって1カ月。医療機関後期高齢者診療料を算定するのに必要な社会保険事務局への届け出が、東北6県で軒並み低迷している。届け出を「拒否」する医師会もあり、制度設計した厚生労働省は「強制ではないが、届け出がなければ患者が選択できない」と困惑している。


 4月末現在の東北6県の届け出件数と、診療所数に占める届け出割合は表の通り。青森は1件、秋田は2件にとどまった。

届け出件数 届け出割合%
青森   1   0.1
岩手   99  12.7
宮城   56   4.0
秋田   2   0.3
山形   12   1.5
福島  183  14.3


 新しい診療料に対して秋田、山形の両県医師会は「反対」の態度を表明。算定や届け出をしないよう会員に呼び掛けた。宮城県医師会も「慎重な姿勢が必要」との見解を示している。青森では、複数の郡市医師会が算定拒否の意向を表明した。


 宮城県保険医協会が会員の医療機関を対象に行ったアンケートでは、診療料について81%が「反対」、73%が「算定しない」と回答している。


 医師会側は「必要な検査を手控える可能性もある」と月6000円の包括設定を批判。1つの医療機関が算定すると別の医療機関は算定できないという仕組みを問題視し「患者の自由な選択や、医療機関の連携を阻害する」「多様な病気を持つ高齢者の一元管理は困難」と批判している。


 厚労省医療課は「最初からどっと届け出が出るとは想定していない。(新診療料は)長期的な診療計画が立てられ、患者の心身特性に合った医療が提供できる。誤解されている面もあり、説明していきたい」としている。


後期高齢者診療料] 後期高齢者医療制度の導入に伴って新設された診療報酬。糖尿病や高血圧などの慢性疾患患者に対し「高齢者担当医」となって総合的、継続的に診察すると、検査、画像診断、処置費などとして包括的に患者1人につき月6000円の報酬が得られる。社会保険事務局に届け出た医療機関で、患者の同意を得た場合に適用される。従来通りの出来高払いも可能。


2008年05月01日木曜日


 医師会が一致して反対運動をしているところと、そうではない県とで届け出数に格差がある。しかし、もっとも多い福島県でも14.3%に過ぎない。東北地方では、後期高齢者診療料は医師会から拒否されていると捉えるべきであろう。