後期高齢者終末期相談支援

 B018-00 後期高齢者終末期相談支援料、および、在宅患者訪問看護・指導料におけるC005-00 後期高齢者終末期相談支援加算(在宅患者)、C005-01 後期高齢者終末期相談支援加算(居住系施設入居者等)の3つは終末期に関係する。いずれも200点と設定されている。


 後期高齢者終末期相談支援料の算定要件は次のとおりとなっている。

 保険医療機関の保険医が、一般的に認められている医学的知見に基づき回復を見込むことが難しいと判断した後期高齢者である患者に対して、患者の同意を得て、看護師と共同し、患者及び家族等とともに、終末期における診療方針等について十分に話し合い、その内容を文書等により提供した場合に、患者1人につき1回に限り算定する。

(1) 後期高齢者終末期相談支援料は、後期高齢者である患者が、終末期においても安心した療養生活を送ることができるよう、医師等の医療関係職種から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行い、患者が終末期における療養について十分に理解することを基本とした上で、診療が進められることを目的としたものである。
(2) 一般的に認められている医学的知見に基づき終末期と保険医が診断した者について、医師、看護師その他の医療関係職種が共同し、患者及びその家族等とともに、診療内容を含む終末期における療養について、「終末期の決定プロセスに関するガイドライン」(平成19年5月21日医政発第0521011号)終末期に関するガイドライン(日本医師会)等を参考にして、患者の十分な理解を得るために話し合い、その内容を文書(電子媒体を含む)又は映像により記録した媒体(以下、この区分において「文書等」という。)にまとめて提供した場合に患者1人につき1回を限り算定する。とりまとめた内容の提供に当たって交付した文書等の写しを診療録に添付すること。
(3) 患者の十分な理解が得られない場合又は患者の意思が確認できない場合は、算定の対象とならない。また、患者の自発的な意思の決定を迫ってはならない。
(4) 話し合う内容は、現在の病状、今後予想される病状の変化に加え、病状に基づく介護を含めた生活支援、病状が急変した場合の治療等の実施の希望及び急変時の搬送の希望(希望する場合にあっては搬送先の医療機関を含む。)をいうものである。
(5) なお、入院中の患者については、患者及び家族等と話し合いを行うことは日常の診療においても必要かつ当然のことであることから、特に連続して1時間以上に渡り話し合いを行ったうえで、患者の十分な理解を得ること。
(6) 時間の経過、病状の変化、医学的評価の変更、生活の変化に応じて、また患者の意思が変化するものであることに留意して、その都度説明し患者の十分な理解を得ること。ただし、変更があった際の文章等の作成に係る費用については所定点数に含まれ別に算定できない。
(7) 入院中の患者については退院時又は死亡時、入院中以外の患者については死亡時に算定する。


 在宅患者訪問看護・指導料における、C005-00 後期高齢者終末期相談支援加算(在宅患者)、C005-01 後期高齢者終末期相談支援加算(居住系施設入居者等)については、次のように記載されている。

 保険医療機関保健師助産師又は看護師が、一般的に認められている医学的知見に基づき回復を見込むことが難しいと保険医療機関の保険医が判断した後期高齢者である患者に対して、患者の同意を得て、看護師と共同し、患者及び家族等とともに、終末期における診療方針等について十分に話し合い、その内容を文書等により提供した場合に、患者1人につき1回に限り算定する。

(17) 「注7」に規定する後期高齢者終末期相談支援加算は、以下の要件を満たす場合に算定できる。


 ア-エまでは、後期高齢者終末期相談支援料(1)-(4)とほぼ同じ。オは(6)とほぼ同じ。


カ 患者の死亡時に算定すること。
キ 終末期相談支援の目的のみをもって患家を訪問し、終末期相談支援以外特段の指導を行わなかった日にあっては、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は「C005−1−2」居住系施設入居者等訪問看護・指導料は算定できないこと。
ク 同一の保険医療機関の保険医と終末期相談支援を行った場合又は特別な関係にある保険医療機関のみで終末期相談支援を行った場合は算定できないこと。


 在宅患者訪問看護・指導料においては、この他にターミナル加算2,000点などの点数がつく。したがって、悪性腫瘍ターミナル患者に関しては、後期高齢者終末期相談支援加算(在宅患者)や後期高齢者終末期相談支援加算(居住系施設入居者等)は意味がある加算といえる。
 後期高齢者終末期相談支援料に関しても、同様に悪性腫瘍末期で意思表明をしっかりと行える患者の場合には、規定に記載されているような対応をとることは多少手間ひまはかかるが可能といえる。しかし、1時間以上かけて説明をし、文書作成にかかる時間は考慮されず、それで2,000円とは随分医師の時給を低く見積もられたとしかいえない。


 最後に、後期高齢者終末期相談支援料等に関する厚労省の本心に関し、赤旗延命治療抑制が目的 厚労省担当者 後期高齢者医療を解説、より。

延命治療抑制が目的


厚労省担当者 後期高齢者医療を解説


 後期高齢者医療制度(四月実施予定)の解説書のなかで、厚生労働省の担当者が「後期高齢者の場合は、高額な医療費を使っても亡くなられる事例が多い」「それを抑制する仕組み」などとして、同制度によって、七十五歳以上の終末期医療費を抑え込むことができると説明していることが分かりました。


 この解説書は『高齢者の医療の確保に関する法律の解説』(二月発行・法研)。編著者は、同制度創設に携わる土佐和男・高齢者医療制度施行準備室室長補佐です。


 問題の部分は、「後期高齢者の診療報酬体系の必要性」の記述。四月からの診療報酬(医療の値段)で、七十五歳以上だけ別建ての終末期医療の診療報酬体系を新設した理由を解説しています。


 土佐氏は、「年齢別に見ると、一番医療費がかかっているのが後期高齢者」「この部分の医療費を適正化していかなければならない」と強調。特に終末期医療の問題を挙げ、「後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が一時間でも、一分でも生かしてほしいと要望して、いろいろな治療がされる。それがかさむと500万円とか1000万円の金額になってしまう」と、延命を求めることが医療費膨張の原因であり、問題だ、と決めつけました。


 そして、「家族の感情から発生した医療費」を「抑制する仕組みを検討するのが終末期医療の評価の問題である」として、後期高齢者の新たな診療報酬体系の意図が、「延命治療」の制限にあると力説しました。


 終末期の診療報酬体系が後期高齢者だけ別建てになっている問題を追及した日本共産党小池晃参院議員の予算委員会質問(十四日)に、舛添要一厚労相は「医療の手を抜いて安上がりにする意図はない」と答弁しました。


 しかし、この解説書は、終末期医療で後期高齢者の医療費を抑え込みたいという制度設計の実務担当者の本音を示しています。


 医師を医療費抑制のゲートキーパーにする意図が露骨に示されている。後期高齢者診療料と全く同じ図式がここにある。