中医協答申−特殊疾患療養病棟等の役割に着目した見直し

 中医協答申がでた。中央社会保険医療協議会総会平成20年2月13日資料の中の、資料(総-1)全体版と、資料(答申書)(別紙1)全体版をもとに、特殊疾患療養病棟と障害者施設等病棟に関する部分を提示する。


 資料(総-1)全体版PDFファイルのベージ数で43-47に概要が記載されている。また、資料(答申書)(別紙1)全体版PDFファイルのベージ数23-24、48、54に詳しい資料が載っている。

 最大の特徴は、前回平成20年1月31日資料では言及のなかった経過措置「対象となる疾患疾患の見直しについては平成20年10月1日施行とする」という文言が加わったことである。

# 特殊疾患療養病棟等の役割に着目した見直し

第1 基本的な考え方


1 平成20年3月31日に廃止予定であった特殊疾患療養病棟入院料及び特殊疾患入院管理料については、期待される役割があることから存続させるとともに、本来設けられた趣旨・目的と照らして対象となる疾患を見直すこととする。


(1) 疾患の見直しの具体的内容: 入院患者の概ね8割以上を占めることが要件とされている「重度の肢体不自由児(者)又は脊髄損傷等の重度の障害者」から、脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除外する。
(2) 特殊疾患療養病棟から療養病床に転換した場合等について、一定の経過措置を設ける。
(3) 「特殊疾患療養病棟入院料」の名称を「特殊疾患病棟入院料」とする。


2 障害者施設等入院基本料について、本来設けられた趣旨・目的に照らして1(1)及び(2)と同様の措置を講じる。


3 後期高齢者特定入院基本料においては、算定対象から除かれる疾患や状態が別に定められているが、特殊疾患療養病棟入院料及び障害者施設等入院基本料の対象の見直しにあわせて、同様に対象の整理を行う。


4 対象となる疾患疾患の見直しについては平成20年10月1日施行とする


第2 具体的内容


1 特殊疾患療養病棟入院料等
* 改正案
【特殊疾患病棟入院料1】 1,943点(現行どおり)
[算定要件]
 脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者及び難病患者等を概ね8割以上入院させる一般病棟
[経過措置](療養病床に移行している場合又は移行する場合)
 平成18年6月30日以降経過措置の対象となった患者(註参照)のうち、20対1以上の看護配置である療養病床に入院する脊髄損傷等の患者(仮性球麻痺の患者を除く。)については、経過措置を延長する。
 平成20年3月31日の時点で特殊疾患療養病棟入院料1を算定する病棟に入院する重度の障害者等の患者については、平成22年度3月31日までに限り医療区分3の患者とみなす
(註) 脊髄損傷、筋ジストロフィー症、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症脊髄小脳変性症パーキンソン病関連疾患、ハンチントン病、多系統萎縮症、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、仮性球麻痺、脳性麻痺


【特殊疾患病棟入院料2】 1,570点(現行どおり)
[算定要件]
 児童福祉法に規定され、厚生労働大臣の指定する肢体不自由児施設等及び肢体不自由児(者)等の重度障害者(脊髄損傷等の重度障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、神経難病患者、脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)を概ね8割以上入院させる一般病棟又は精神病病棟
[経過措置](療養病床に移行している場合又は移行する場合)
 平成18年6月30日以降経過措置の対象となった患者(上記註参照)のうち、20対1以上の看護配置である療養病床に入院する脊髄損傷等の患者(仮性球麻痺の患者を除く。)については、経過措置を延長する。
 平成20年3月31日の時点で特殊疾患療養病棟入院料2を算定する病棟に入院する重度の肢体不自由児(者)等の患者については、平成22年度3月31日までに限り医療区分3の患者を除いて、医療区分2とみなす



【特殊疾患入院医療管理料】 1,943点(現行どおり)
[算定要件]
 脊髄損傷等の重度の障害者(脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者及び神経難病患者等を概ね8割以上入院させる病室
[経過措置](療養病床に移行する場合)
 平成20年3月31日の時点で特殊疾患入院医療管理料を算定する病室に入院する重度の障害者等の患者については、平成22年度3月31日までに限り医療区分3の患者とみなす



2 障害者施設等入院基本料
* 改正案
【障害者施設等入院基本料】
 7対1入院基本料 1,555点(肢体不自由児施設等に限られる)
 10対1入院基本料 1,300点(+31点)
 13対1入院基本料 1,092点
 15対1入院基本料 954点
[算定要件]
イ 児童福祉法に規定される以下の施設
・ 肢体不自由児施設
・ 重症心身障害児施設
・ 国立高度専門医療センターのうち、厚生労働大臣の指定するもの
・ 国立病院機構の設置する医療機関
ロ 重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者等を概ね7割以上入院させている病棟
[経過措置](療養病床に移行している場合又は移行する場合)
 平成20年3月31日の時点で障害者施設等入院基本料を算定する病棟に入院する重度の肢体不自由児(者)等の患者については、平成22年度3月31日までに限り、医療区分1に該当する患者は医療区分2、医療区分2に該当する患者は医療区分3とみなす


【特殊疾患入院施設管理加算】 350点(現行どおり)
[算定要件]
 重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者等を主として入院させる障害者施設等一般病棟等その他の病棟において算定する
[施設基準]
 当該病棟の入院患者数の概ね7割以上が、重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者である。



3 後期高齢者特定入院料
* 改正案
後期高齢者特定入院料の対象外となる状態]
3 重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者等