回復期リハビリテーション病棟退院要件

 澤田石先生のホームページ「厚労省が推進する棄民政策に反対しよう」に回復期リハビリテーション病棟退院要件に関する重要な情報が掲載されたので、ご紹介する。


 今度改定される回復期リハビリテーション病棟入院料の要件は次のようになっている。

【回復期リハビリテーション病棟入院料1】 ◯◯◯点
[算定要件]
 回復期リハビリテーションを要する状態の患者を8割以上入院させており、かつ以下の要件を満たすこと
1 当該病棟において新規入院患者のうち1割5分以上が重症の患者であること
2 当該病棟において退院患者のうち、他の保険医療機関への転院した者等を除く者の割合が6割以上であること
[施設基準]
 心大血管疾患リハビリテーション料(I)、脳血管疾患等リハビリテーション料(I)、(II)若しくは(III)、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料の届出を行っていること


【重症者回復加算】 ◯◯◯点(1日につき)
[算定要件]
 重症の患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善していること
[施設基準]
 回復期リハビリテーション病棟入院料1の届出を行っている病棟であること


【回復期リハビリテーション病棟入院料2】 ◯◯◯点
[算定要件]
 当該病棟において、回復期リハビリテーションを要する状態の患者を8割以上入院させており、かつ回復期リハビリテーション病棟入院料1の基準を満たさないもの
[施設基準]
 心大血管疾患リハビリテーション料(I)、脳血管疾患等リハビリテーション料(I)、(II)若しくは(III)、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料の届出を行っていること



2 回復期リハビリテーション入院料を算定する施設基準の要件の中で、医師の専従配置要件を見直す。


[施設基準]
 リハビリテーション科を標榜しており、専任の医師1名以上理学療法士2名以上及び作業療法士1名以上の常勤配置を行うこと



3 平成20年3月31日時点で、現行の回復期リハビリテーション料を算定している病棟においては、平成20年9月30日までの間は、現行の点数を算定する。


 澤田石先生のホームページから引用する。

厚労省保険局医療課規格法令第1係への質問と回答(2月6日)


[質問]
 1/30(2/1)の中医協総会の回復期リハに関係する部分の『保険医療施設』に老健施設は含まれるのでしょうか。
[回答]
 含まれます。
[コメント]
 いろいろな言い方で訪ねたが、回答者は明確に含まれると回答。多くの回復期リハ関係者は、『医療保険』でなく『保険医療』施設と表現され、しかも「転院」という表現であったため、「病院以外が6割ならOK」ということだと解釈していたと思われる。


[質問]
 重症者を6割以上も受け入れているところは死亡や急病による精査・治療転院が多いです。それらが分母から除外されるのですよね。
[回答]
 決まってません。
[コメント]
 この回答も明確であった。そこまでは本当に検討していないのであろう。


[質問]
 私は成果主義そのものに私は断固反対なので改めて意見を中医協のメンバーに意見を届けたいです。また、実施された場合の被害を最小にするために死亡と精査・治療転院のケースを分母から除外するべきということも強く主張します。意見をどこにとどければいいのでしょう。中医協のメンバーの連絡先が公開されていたら教えてください。知りたいのは意見の届け先です。
[回答]
 保険局医療課に送ってくだされば、宛名の通りに各委員にとどけます。
[コメント]
 本当に各委員に手渡しするのか、そのまま死蔵ないしはゴミ箱行きではないのかと、念を押したところ、確実に委員に渡すとのことであった。


 退院先の保険医療機関老健が含まれるということは、当然のことながら介護療養病棟も入る。他の保険医療機関への転院した者「等」とあるので、特養入所も自宅等に含まれない可能性がある。グループホームだって怪しい。死亡は別として、急病による精査・治療転院は他の保険医療機関への転院と判断されるだろう。
 となると、自宅退院と有料老人ホームなど医療保険介護保険からの給付がない退院先以外は、他の保険医療機関への転院した者「等」に入るのではないだろうか。一安心した自分が愚かに思える。


 中医協資料では、まだまだ不明確な点が下記のように多い。

  • 「重症度」判定に「日常生活機能指標』が使用されるのか?
  • 「重症患者」の基準は?
  • 「重症患者」の「日常生活機能」改善の基準は?


 要件が明確になった時点から、各地の回復期リハビリテーション病棟があわてふためき患者選別に走る姿が思い浮かぶ。