オシム前監督のリハビリテーション順調!

 一昨日配信されたニュース<オシム前監督>自力歩行まで回復…川淵会長「速くて驚く」を引用する。

オシム前監督>自力歩行まで回復…川淵会長「速くて驚く」
1月23日19時21分配信 毎日新聞


 日本サッカー協会川淵三郎会長は23日、リハビリ中の前日本代表監督のオシム氏(66)が自力で歩けるまでに回復したことを明かし、今後は1カ月程度で退院できるとの見通しを示した。また、オシム氏は病院側の許可が出れば、30日の日本代表対ボスニア・ヘルツェゴビナ代表戦を観戦する。試合当日は大型ビジョンに姿を映し、マイクを通じて話をしてもらう計画があるという。


 この日、川淵会長が東京都内の病院を訪ねると、リハビリ中だったオシム氏は右手でつえを持ち、両足に補助器具を付けて約15メートル歩いた後、つえを離して約15メートル歩いた。「スタスタと速くて驚いた」(川淵会長)。体重は入院前から約15キロ減り、101〜103キロ。感覚がなかった左手も、現在は触られれば分かる程度に回復し、ワインも少し口にしたという。


 川淵会長によると、オシム氏はボスニア戦観戦について「今の代表を監視するようにとられたくない。プレッシャーを与えたくない。自分ではなく日本代表こそが目立つべきだ」と語った。代表選手の個人名を挙げ、「思っているほど成長していない。もっと責任を感じるべきだ」と話し、「僕が説教を受けている感じだった」(川淵会長)という。


 川淵会長は「一方的に話をされて、僕が口を挟むのが大変だった。(ボスニア戦で)元気な姿を見てもらい、しゃべり方も戻ったことを見せてほしい」と期待した。【江連能弘】


最終更新:1月23日23時28分


 リハビリテーションはきわめて順調と判断して良いだろう。一安心である。オシム前監督には申し訳ないとは思うが、リハビリテーション専門学校の講義のネタとして使用させていただく。

* 問題: 国際生活機能分類ICF)に従って、オシム前監督に関するプロブレムリストを作成せよ。

  • 健康状態
  • 心身機能・構造
  • 活動
  • 参加
  • 背景因子(環境因子・個人因子)


* 回答例

  • 健康状態

【診断名】 脳梗塞。新聞報道から推察する限り、もともと心臓病があったらしい。おそらく、心原性脳塞栓だろう。部位は右半球。ちなみに、脳梗塞とはそもそも急性発症する疾患であり、「急性脳梗塞」という表現は不適切。

  • 心身機能・構造

【機能障害】 左片麻痺、左半身感覚障害は間違いなくある。現時点でも、左上肢の麻痺は重度のようだ。左下肢も装具をつけていることを考慮すると、重度〜中等度だろう。高次脳機能障害の状況は不明。「一方的に話をされて、僕が口を挟むのが大変だった。」という部分が若干気になる。「両足に補助器具」とあるが、短下肢装具は麻痺側の左側だけではないかと推測する。

  • 活動

【活動の制限】 ワインを飲めるようなので、摂食は自立。歩行は15m誰かがついていれば歩けるとなると、FIM移動2点以上はある。「スタスタと速くて驚いた」ということなので、かなり歩行能力は高いようだ。他のADLは詳細不明。おそらく、排泄動作は監視〜自立までになっているだろう。

  • 参加

【参加の制限】 サッカー日本代表監督としての仕事は契約解除された。しかし、将来的に日本サッカー協会が、日本代表のアドバイザーなどの仕事を検討しているらしい。

  • 背景因子(環境因子・個人因子)

【環境因子】 千葉県在住。妻と同居。長男もサッカー監督だったが、現在失業中。
【個人因子】 サッカー界の至宝。脳梗塞になった後もサッカー観戦は欠かさない。今後も、なんらかの形でサッカーに関わりたいと考えている。


 障害構造を理解し、プロブレムリストを作成する。それぞれのレベルごとに到達可能な目標を設定する。カンファレンスなどで目標を共有し、期間を決めて実施する。アセスメントを繰り返し、目標の再設定をする。参加レベルの目標が最も大事である。活動レベルの目標も、基本的ADL達成に矮小化せず、手段的ADLや社会的役割も視野に入れて設定をする。


 退院時期は2月中旬〜下旬を予定。この時点では、基本的ADLは入浴以外自立し、屋外歩行も監視で可能となっているだろう。装具も不必要になっているかもしれない。しかし、退院でリハビリテーションは終了する訳ではない。応用歩行、心肺機能向上などを目指して、通いで(おそらく病院近くのホテルを借りて)リハビリテーションを継続することになる。オシム前監督がなんらかの形でサッカー界に関わることができるまで、リハビリテーション的介入は継続される。