障害者施設等病棟の評価のあり方について

 診療報酬基本問題小委員会(第117回)(2007年12月14日)の中に障害者施設等入院基本料に関する資料がある。入院医療の評価のあり方について(2)の(診−1−1)、(診−1−2)である。結論は以下のとおりである。

 障害者施設等一般病棟の本来の目的に鑑み、医療ニーズがそれほど高くないと考えられる脳梗塞脳出血後遺症の患者が中心となっている病棟に対しては、一定の経過措置を設けつつ、ふさわしい病棟への転換を進めることを検討してはどうか。



 図に示されるとおり、肢体不自由児(者)施設等以外から、脳卒中後遺症患者が除外される。経過措置等として、「算定要件の見直しについては、◯ヶ月の猶予をもって対応」、「対象外となった患者に対し、退院調整料を検討」と記載されている。
 また、療養病棟に転換した病棟において、「◯年◯月時点で入院していた対象患者については、平成22年3月末までは医療区分2とみなす等」、「平成24年3月末までの措置は別途設定・退院調整料を新たに設定」となっている。



 療養病床の年次推移に関する図が示されている。2006年度診療報酬改定前と比し、医療療養病床が26.1万床から25.1万床へ、介護療養病床が12.3万床から11.3万床へ、それぞれ1万床ずつ減少している。一方、障害者施設等病棟は3.6万床から5.6万床へと2万床増えている。


 厚労省は、傍証を積み上げ、療養病棟から障害者施設等病棟へ移行したことを証明している。療養病床的性格を持っている障害者施設等病棟は、療養病棟に戻ることになる。約2年の猶予期間中は、現在の入院患者は点数が比較的高い医療区分2とみなすという暫定措置が利用できるため、経営的メリットもある。ただし、あくまでも2年間だけであり、新規患者には適応されない。
 なお、2006年度診療報酬改定で療養病床における医療区分算定に3ヶ月間の移行期間があったことを考慮すると、猶予期間はおそらく3ヶ月ではないかと予測する。