障害者施設等病棟

 CBニュース特殊疾患療養、来春以降も存続へ(2007年11月7日)という記事の中に、特殊疾患療養病棟と障害者施設等入院基本料算定病棟の見直しについての記載がある。

 特殊疾患療養病棟入院料は、脊髄損傷などの重度障害者を受け入れる医療機関を評価するための点数で、療養病床だけでなく一般、精神病床でも算定が認められていた。しかし、前回改定で医療区分が導入されたのを受けて療養病床では算定できなくなり、現在ある経過措置も08年3月31日に切れる。一般、精神病床でも、同入院料は08年3月いっぱいで廃止されることが決まっている。

 7日の基本問題小委で同省が示した案は、入院患者を本来の対象に絞り込んだ上で、同入院料の廃止を事実上、見直す内容。保険局の原徳壽医療課長は、経過措置などの延長期間について「現時点で期限を区切るのは難しい」と述べ、長期的な視点で状況を見ながら検討していく考えを示した。

 厚労省は今年7月から8月、特殊疾患療養病棟入院料を届け出る医療機関での入院患者の病態を把握するため、同入院料を算定する一般病床と精神病床を対象に調査を実施。「肢体不自由者施設」などの指定を受ける医療機関と、それ以外の医療機関(国立、公立、公的、医療法人、社会福祉法人など)に分けて集計した。

 それによると、肢体不自由者施設の入院患者の退院見込みを聞いた結果では、「見通しはない」が一般、精神病床でそれぞれ95.0%、96.7%とともにきわめて高く、現時点では特殊疾患療養病棟を完全に廃止することは困難と判断した。

 ただ、肢体不自由者施設の一般病床では「脳性まひ」(43.9%)や「筋ジストロフィー」(30.1%)など難病患者の割合が高かったのに対し、その他の医療機関の一般病床では医療ニーズが比較的低いとされる「脳梗塞」や「脳出血」による障害者が多かった。また精神病床では、本来の対象患者ではない「認知症」の割合が医療法人で全体の7割以上を占めたのに対し、肢体不自由児施設では認知症はほとんど受け入れていなかった。

 これらの結果を受けて厚労省は、同入院料の対象患者から「脳出血」や「脳梗塞」「認知症」を除外し、本来の対象である神経難病などに限定させる方針を説明。脳出血脳梗塞の患者は療養病床などへの移行を促す考えを示した。


■障害者施設等入院基本料の対象も整理
 同省はまた、医療ニーズの高い障害者の受け入れ医療機関が算定する「障害者施設等入院基本料」についても、特殊疾患療養病棟と同様の観点から対象を見直す方針を示した。

 療養病棟入院基本料に医療区分が導入された06年以降、障害者施設等入院基本料の算定施設は増加しているが、同省は「入院患者の多数は慢性期の療養の対象と考えられる」との見方を示した。


 中医協診療報酬基本問題小委員会(第107回)(2007年11月7日)の入院医療の評価の在り方についてに関係する資料がある。


 この資料中にある特殊疾患療養病棟と障害者施設等病棟に関する図をみると、医療スタッフの必要度は高いが、医療処置の内容等の変動が少ない場合が、特殊疾患療養病棟入院基本料の対象となる。人工呼吸器をつけた筋ジス患者が具体例として示されている。一方、同じく医療スタッフの必要度が高いが、医療処置の内容等の変動が大きい時には、障害者施設等病棟の対象となる。肢体不自由児や難病患者が状態が不安定になった時のために、出来高払いで算定できる障害者施設等入院基本料を設けられたと言える。そして、医療スタッフの必要度が低くなった時点で、療養病棟への移動が促される。



 しかし、実際の病棟の使われ方は、厚労省の思惑どおりにはなっていない。特に病棟構造などハードの部分の制限が低い障害者施設等病棟は、2006年の療養病棟への医療区分導入に伴い、急増してきている。厚労省は、脳出血脳梗塞などを特殊疾患療養病棟入院と障害者施設等病棟の対象疾患から除外しようとしている。この見直しがリハビリテーション医療にどのような影響を与えるかについて考察する。