ターゲットは都市部の公立病院

 公立病院改革懇談会から、ガイドライン(全文)をダウンロードして読んだ。公立病院の果たすべき役割の明確化の部分を引用する。ターゲットは都市部の公立病院であることが滲み出ている。

 公立病院をはじめとする公的医療機関の果たすべき役割は、端的に言えば、地域において提供されることが必要な医療のうち、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を提供することにある。
 公立病院に期待される主な機能を具体的に例示すれば、1)山間へき地・離島など民間医療機関の立地が困難な過疎地等における一般医療の提供、2)救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門に関わる医療の提供、3)県立がんセンター、県立循環器病センター等地域の民間医療機関では限界のある高度・先進医療の提供、4)研修の実施等を含む広域的な医師派遣の拠点としての機能などが挙げられる。各公立病院は、今次の改革を通じ、自らが果たすべき役割を見直し、改めて明確化すると同時に、これを踏まえ、一般会計等との間での経費の負担区分についての明確な基準を設定し、健全経営と医療の質の確保に取り組む必要がある。
 このような観点からすれば、特に民間医療機関が多く存在する都市部における公立病院については、果たすべき役割に照らして現実に果たしている機能を厳しく精査した上で、必要性が乏しくなっているものについては廃止・統合を検討していくべきである。また、同一地域に複数の公立病院や国立病院、公的病院、社会保険病院等が並存し、役割が競合している場合においても、その役割を改めて見直し、医療資源の効率的な配置に向けて設置主体間で十分協議が行われることが望ましい。


 関係する文章をガイドラインから引用し、以下に列記する。

  • 「民間病院並みの効率性」の達成
  • 民間的経営手法の導入
  • 経営感覚に富む人材の登用等
  • 病床数が過剰な二次医療圏内に複数の公立病院が所在する場合には、後掲の再編・ネットワーク化により過剰病床の解消を目指すべき
  • 特に、都市部にあって、複数の公立病院や国立病院、公的病院等、更には大規模な民間病院が多数立地し、相互の機能の重複、競合が指摘されるような場合には、他の医療機関の配置状況等を踏まえ、当該公立病院の果たすべき機能を厳しく見直し、必要な場合、他の医療機関との統合・再編や事業譲渡等にも踏み込んだ大胆な改革案についても検討の対象とすべきである
  • 「民間にできることは民間に委ねる」


 一方、経営指標の目標設定及び評価に関する留意点のところに、離島・へき地等に関して、次のような記述がある。引用する。

 さらに、これらの経営指標の水準は、病院の立地条件、医療機能等により大きく左右される場合も多く、これらの事情を捨象してあらゆる指標について一律の水準での目標設定や相互比較を行うことは困難である。とりわけ、例えば北海道や沖縄における離島、へき地に立地する病院や、小児科、産科、周産期、精神医療等に特化した専門病院は、一般会計等繰入前の経営指標は著しく厳しい水準とならざるを得ず、一般会計からの繰出基準の設定や経営指標の評価において一般的な公立病院とは異なる取扱いが必要な場合が多い点に留意すべきである。


 都市部で大幅な赤字を計上している病院が明らかなターゲットになっている。都立病院や各政令都市にある市立病院が統合・再編の対象となる。特に老朽化し、新規に立て直そうとしている自治体病院は厳しい状況に立たされることになるだろう。