公立病院改革懇談会

 公立病院改革懇談会開催要綱には、次のような趣旨が記載されている。

 6月19日の「経済財政改革の基本方針2007」においても、「総務省は、平成19年内に各自治体に対しガイドラインを示し、経営指標に関する数値目標を設定した改革プランを策定するよう促す」とされたところである。
 このたび「公立病院改革ガイドライン」策定に当たり、有識者の意見を伺うため、「公立病院改革懇談会」を開催する。


 7月23日に第1回会合が開かれた。そして、11月12日に開かれた第5回会合にて、次のような公立病院改革ガイドライン(案)がまとめられた。(1)経営効率化、(2)再編・ネットワーク化、(3)経営形態の見直しの部分を、ガイドライン(案)の部分を概要から引用する。

(1)経営の効率化
・ 経営指標に係る数値目標を設定
1)財務の改善関係(経常収支比率、職員給与費比率、病床利用率など)
2)公立病院として提供すべき医療機能の確保関係 など
・ 一般会計からの所定の繰出後、「経常黒字」が達成される水準を目途
(地域に民間病院が立地している場合、「民間病院並の効率性」達成を目途)
・ 病床利用率が過去3年連続して70%未満の病院は病床数等を抜本的見直し

(2)再編・ネットワーク化
・ 都道府県は、医療計画の改定と整合を確保しつつ、主体的に参画
・ 二次医療圏等の単位での経営主体の統合を推進
・ 医師派遣拠点機能整備推進。病院間の機能重複を避け、統合・再編を含め検討
・ モデルパターンを提示

(3)経営形態の見直し
・ 人事・予算等に係る実質的権限、結果への評価・責任を経営責任者に一本化
・ 選択肢として、地方公営企業法全部適用、地方独立行政法人化、指定管理者制度、民間譲渡を提示
・ 診療所化や老健施設、高齢者住宅事業等への転換なども含め、幅広く見直し


 再編・ネットワーク化を行う理由としては、ガイドライン(案)では、次のように指摘されている。

 近年の公立病院の厳しい経営状況や道路整備の進展、さらには医師確保対策の必要性等を踏まえると、地域全体で必要な医療サービスが提供されるよう、地域における公立病院を、1)中核的医療を行い医師派遣の拠点機能を有する基幹病院と2)基幹病院から医師派遣等様々な支援を受けつつ日常的な医療確保を行う病院・診療所へと再編成するとともに、これらのネットワーク化を進めていくことが必要である。
 この場合において、地域の医療事情に応じ、日本赤十字社等の公的病院等を再編・ネットワーク化の対象に加えることも検討することが望ましい。


 CBニュース 公立病院改革で特例債の発行容認(2007年12月21日)から、財政面での支援措置について、報じられている。

 GLでは、これまで明らかになっていなかった財政支援措置の具体的な中身を示した。それによると、医師不足などによって03年度以降に発生した不良債務を長期債務に振り返るため、「公立病院特例債」の発行を08年度に限って認める。償還期間は7年。
 特例債を発行できるのは、医業収入に対する不良債務の割合(不良債務比率)が07年度時点で10%以上の公立病院事業。自治体が08年度内に改革プランを策定することが条件。

 特例債の発行容認には、資金不足が足かせになり抜本改革に踏み切れない病院事業の債務返済を支援することで、再編・ネットワーク化を促す狙いがある。
 総務省によれば、不良債務比率が10%以上の病院事業は06年度末時点で全国に67ある。債務の総額は03年度から06年度までに約560億円増えているといい、特例債の発行額については600億円を見込んでいる。


 わずか5ヶ月の間に6回の会合を開き、1年以内に公的病院改革の方向性を出すことを自治体に通知した。財政援助も1年限り。結論は開催前にありき。有識者の意見を聞きましたよ、という体裁だけ整え、強行突破をしようとしている。

 お役所仕事という言葉は、はてなキーワードでは、「杓子定規、融通の利かない応対ぶりのさま」と定義されている。責任が決まらず、なかなか決定できない状況を指し示している。しかし、国の仕事は見違えるばかりに早くなった。今後は、お役所仕事とは、見切り発車で杜撰な仕事をすること、という意味も付け加えなければいけない。