高齢者の入浴事故死は交通事故死より多い

 有料老人ホームでの入浴中の溺死が報道された。

 同署によると、5月7日午後4時30分頃、同ホーム6階にある浴室の浴槽内で、女性がぐったりしているのを職員が見つけた。女性は搬送先の病院で死亡が確認され、司法解剖の結果、死因は溺死だったという。ホーム側の説明では、女性は障害が軽度で普段から1人で入浴していたという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130709-OYT1T00517.htm?from=tw


関連エントリー


#1 高齢者における3大不慮の事故死は、転倒・転落、溺死、窒息


 関連エントリーにおいて、医療機関介護施設での「不慮の事故」による死亡に着目し、次のようなまとめを行った。

  • 高齢者では、転倒・転落、溺死、窒息による死亡が急速に増加する。
  • 発生場所でみると、溺死は家庭で多いが、居住施設(介護施設等)、公共の地域(医療機関等)では少ない。月別にみると、冬場に多い。しかも、85歳以上になると、比率が減少する。ADLが自立している高齢者が冬場に浴室で死亡している場合、溺死と判定されるのではないかと推測する。
  • 居住施設(介護施設等)、公共の地域(医療機関等)で比率が高い、転倒・転落、窒息に対するリスク管理強化が重要である。


 発生場所ごとに分類した不慮の事故死数(比率)をみると、次のようになっている。

発生場所 総数 転倒・転落 溺死 窒息
総数 30,654 7,170(23.4%) 6,464(21.1%) 9,419(30.7%)
家庭 13,240 2,560(19.3%) 4,079(30.8%) 3,995(30.2%)
居住施設 1,452 226(15.6%) 40(2.8%) 1,165(80.2%)
公共の地域 1,295 482(37.2%) 21(1.6%) 755(58.3%)


#2 高齢者の入浴事故死は交通事故死より多い


 高齢者の入浴中の事故は溺死に限らない。
 長寿社会グローバル・インフォメーションジャーナル Vol.6|国際長寿センターにある、高齢者の「入浴中の急死」に関する地方性をみると、「病死」に扱われるものも含めた「入浴中の急死」は1万4,000人であり、その49.8%が12〜2月の3ヵ月間に起きている、と指摘している。本調査は1999年の東京消防庁と東京都監察医務院による実態調査をもとにしているが、2013年3月15日に公表された東京都23区における入浴中の事故死の推移 東京都福祉保健局でも同様の傾向が認められる。

 東京都監察医務院では、東京都23区内の異状死の検案を実施し、年間約14,000件の取扱件数を有しておりますが、そのうち、死亡直前の行動が入浴中であった事例は、1,000件を超え、全検案数の約1割を占めていることが10年間の調査でわかりました。年齢構成は、高齢者に多く、発生時期は、冬場に多く発生している傾向が見受けられ、年々増加しておりますので、入浴時の行動は注意が必要です。


 高齢者の入浴事故死については、入浴死・入浴事故を防ぐナビ — 山形県ホームページが詳しい。報告書概要版をみると、次のような記載がある。

 庄内地区では、3年間で入浴事故は700件、うち4人に1人にあたる174人が死亡しています。同期間の交通事故死(37人)と比べると、死亡者数は4倍を超えます。


 第2章 調査結果の11ページに初診時の傷病名一覧があるが、傷病者の初診時傷病名は「脳血管疾患」が16.1%と最も多く、次いで「循環器系疾患」が13.4%、「意識障害」が12.6%、「外傷」が9.9%、「脱水」が9.7%となっており、溺水は6.1%に過ぎない。12ページをみると、初診時程度の傷病名は、「中等症・軽症」では、意識障害、脱水、外傷が多く、「死亡・重症」は、CPA、溺水、循環器系疾患の疾患が多い状況であった、という記載がある。さらに、33〜44ページに救急車の出動要請の概要が記載されている。48ページをみると、少なくとも3年間で241件(自宅140件、自宅以外101件)が早期発見により死亡を免れたと考えれる、となっている。


 第3章 考察も充実している。要約は次のようになっている。

【要約(summary )】<第1 入浴事故の実態と入浴事故死数>

  • 都道府県別不慮の溺死・溺水 標準化死亡比(SMR) 
    • 都道府県別に不慮の溺死・溺水を比較すると、山形県は全国で第9位だった。寒い地域である北海道・青森は数値が低いことから、住宅内の温度管理が行き渡っていることが要因であると考えられた。
  • 全国及び世界の入浴事故の状況
    • 不慮の事故死の中で交通事故は平成7年から平成20年まで7648人減少しているのに対し、溺死は876人増加している。
    • 性・年齢階級別に不慮の溺死・溺水の死亡率の国際比較をすると、75歳以上では日本は男性32 、女性23.2 と、他の国に比べ極めて高くなっている。
    • 当調査の入浴死者のうち人口動態調査上の死因で「不慮の溺死・溺水」とされているのは、4人に1人に留まる。
    • 庄内地域の3年間の入浴死は交通事故死の4.7倍だった。
    • 山形県の年間入浴事故死者数は219人と推計された。


<第2 調査結果からの考察と今後の対策>

    • 早期発見・早期対処により、助かった事例も多くあることから日ごろからの家庭内での見守り意識の普及や応急手当講習会での対処法の普及が重要であると考えられる。
    • 入浴事故は気温が大きく関係していることから、居間と脱衣所・浴室の温度差をなくすための住宅分野からの普及啓発が必要である。
    • 入浴事故死は交通事故死より多く、国際比較でも極めて高い状況のため、全国的な健康問題として入浴事故の普及啓発を展開していく必要があると考えられる。


# 軽度要介護者入居施設における入浴中の事故防止のために

 入浴は、基本的ADLのなかで最も難しい項目である。したがって、特養・老健など介護保険施設入所者では基本的には溺水事故は起こりにくいはずである。しかし、埼玉県の通知、入浴介助における安全通知の徹底について(平成23年11月14日)をみると、深刻な事故報告がされており、「短時間でも職員が眼を離すと重大事故につながる」と警告されている。
 問題は、入浴までは自立している軽度要介護者における場合である。今回、ワタミの有料老人ホーム入所者の事故事例は、普段から入浴自立していたとのことであり、一概に責められる案件ではないように思える。ただし、遺族に嘘の説明をしていた!「ワタミの介護」施設で入浴中に死亡 - NAVER まとめで問題となっている事例は、転倒を繰り返すパーキンソン病患者を1人で入浴させ、発見まで90分かかっていたということであり、明らかに安全対策を怠っている。
 今後、都市部の高齢者急増に伴い、サービス付高齢者向け住宅や有料老人ホームなど軽度要介護者を主な対象とする居住施設が急増すると予想される。もともと独居や夫婦2人暮らしの方が居住施設に入所した場合、入浴中の事故を如何に防ぐかが課題となる。プライバシーへの配慮も必要であり、悩ましい問題である。

寝たきり患者における「介護骨折」

 介護動作に伴って生じる骨折に関する文献、寝たきり患者における「介護骨折」 | 研究者情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンターを読んだ。興味深い内容だったので、重要だと思う部分を紹介する。

  • 従来、介護動作にて生じる骨折は「おむつ骨折」と表現されてきた。しかし、おむつ交換以外の介護動作でも骨折をきたすことがあることに加え、受傷機転が明らかでない骨折も認めた。そのため、介護者による日常生活動作の結果生じた骨折、もしくは、外傷なく疼痛・腫脹・皮下出血・変形などで気づかれる骨折を介護骨折と定義した。なお、海外では、spontaneous insufficient fractures of long bonesなどと定義されている。
  • 当院(市立秋田総合病院)で経験した介護骨折は12例14骨折であり、発生頻度は、大腿骨2.3%(8/350例)、上腕骨5.3%(3/57例)、脛骨3.4%(1/29例)だった。全例、全介助状態であり、12例中10例は施設での発生だった。平均年齢は85.9歳で、脳性麻痺の男性以外は全て女性だった。気づかれずに受診しない症例の存在も否定できず、発生頻度は増加する可能性がある。なお、大腿骨頚部骨折の発生頻度および受傷状況に関する全国調査をみると、全症例155,215例中おむつ骨折は272例(0.25%)だったが、この調査は大腿骨近位部骨折に限ったものである。
  • 臥床生活の継続に支障がなければ、保存療法も選択肢の一つになる。ただし、骨折部断端の突出があり、皮膚を穿破する可能性がある場合には、整復固定術を選択した方が良い。
  • 骨粗鬆症治療薬として、bisphosphonateなどがあるが、内服後の体位(臥床不可)の問題があり、寝たきり患者への適応は難しかった。最近、bisphosphonateの点滴製剤も登場し、寝たきり患者に対しても処方が容易となっている。介護骨折を予防するためにも適応を拡大すべきである。


 介護骨折は、寝たきり患者の多い施設や病院でその発生に注意を払う必要がある。愛護的に患者に接することが必要だが、明らかな外傷機転がなくても生じるため、対策は困難である。骨脆弱性があると推測される高齢の女性寝たきり患者の場合、些細なことで骨折を起こす危険性があることを事前に説明しておくことが、リスク管理上求められる。
 点滴で使用可能なbisphosphonate製剤に言及されているが、悪性腫瘍による高カルシウム血症、(固形癌骨転移、多発性骨髄腫)の骨病変といったものが適応である。薬価も著しく高い。予防策としては現実性には乏しい。
 拘縮が悪化していると、過大な外力をかけがちになる。ちょっと油断すると介護骨折を生じてしまう。それでなくても、介護者に負担をしいる関節可動域制限は容易に生じる。予後不良と思われる重症患者においても、急性期から維持期まで適切なリハビリテーションを継続することが基本である。しかし、疾患別リハビリテーション料算定日数上限問題があり、一定期間を過ぎるとリハビリテーションを継続しにくいシステムに現在はなっている。頭の痛い問題である。

要介護5大要因のなかで認知症の割合が増加中

 国民生活基礎調査|厚生労働省において、3年に1回、要介護者の状況に関する調査が行われている。

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 平成10年(1998年)から平成22年(2010年)までの5回分のデータ(厚生労働省平成13年国民生活基礎調査の概況厚生労働省:平成16年国民生活基礎調査の概況厚生労働省:平成19年国民生活基礎調査の概況の訂正について平成22年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省)をもとに、要介護5大要因の推移を表にまとめてみた。

1998年 2001年 2004年 2007年 2010年
脳血管障害 29.3% 27.7% 25.7% 23.3% 21.5%
認知症 10.1% 10.7% 10.7% 14.0% 15.3%
高齢による衰弱 12.1% 16.1% 16.3% 13.6% 13.7%
関節疾患 6.6% 10.4% 10.6% 12.2% 10.9%
骨折・転倒 10.4% 11.8% 10.8% 9.3% 10.2%


 脳血管障害、認知症、高齢による衰弱、関節疾患、骨折・転倒が要介護の要因として比率が高い。介護予防の主要ターゲットはこの5要因であることが示されている。いずれの時期の調査でも他の原因は主要5要因と比べかなり少ない。なお、介護保険施行以前の調査(1998年)と施行後の調査(2001年〜2010年)とでは対象が異なっている。後者は要介護認定を受けている者が対象であることに注意が必要である。
 要介護要因の変化を見てみると、脳血管障害の比率が次第に低下していることがわかる。一方、2007年以降、認知症の比率が高くなってきている。逆に、高齢による衰弱は、2007年度に割合が低下している。関節疾患と骨折・転倒は両者とも10%前後で推移している。認知症が伸びている原因としては、人口の高齢化が進んでいることもあるが、認知症に対する関心が高まり、より正確な診断がつけられるようになったことがあるのではないかと推測する。
 国民生活基礎調査は、要介護になった主因しか調べていないため、複合的要因を持つ者の状況はわからない。例えば、もともと認知症があった高齢者が、転倒・骨折をきっかけに要介護状態が悪化した場合、どちらに分類すべきかという問題が出てくる。厚労省の調査では、65歳以上の高齢者における認知症の発生率は約10%となっている。要介護者の比率が高齢者人口の約2割であることを考慮すると、要介護者の半数に認知症が関係していると考えることもできる。
 要介護の原因として、認知症の重要性が高まっていることは間違いない。認知症はcommon disease であるとの認識にたち、対応することが必要である。

平成24年度介護報酬改定に関する関係Q&A(3)

 平成24年度介護報酬改定に関する関係Q&A(平成24 年3 月16 日)についてより、「在宅強化型の介護老人保健施設」について。
 この「在宅強化型の介護老人保健施設」については、 第88回社会保障審議会介護給付費分科会資料 平成24年1月25日にある資料1−2平成24年度介護報酬改定の概要(PDF:675KB)の34〜35ページに次のような説明がある。

(2) 介護老人保健施設
 在宅復帰支援型の施設としての機能を強化する観点から、在宅復帰の状況及びベッドの回転率を指標とし、機能に応じた報酬体系への見直しを行う。


(中略)


※ 現行の介護保健施設サービス費(ii)を介護保健施設サービス費(iii)とし、介護保健施設サービス費(ii)及び介護保健施設サービス費(iv)を創設する。

 介護保健施設サービス費(i)と(iii)が引き下げられ、(ii)及び(iv)は増額されている。

※ 算定要件(介護保健施設サービス費I(ii若しくはiv)
【体制要件】
 理学療法士作業療法士又は言語聴覚士を適切に配置していること。
【在宅復帰要件】
・算定日が属する月の前 6 月間において当該施設から退所した者の総数(当該施設内で死亡した者を除く。)のうち、在宅において介護を受けることとなったもの(入所期間が1 月以上のものに限る。)の占める割合が 100 分の 50 を超えていること。
・入所者の退所後 30 日以内(当該入所者が要介護4又は要介護5である場合は 14 日以内)に、当該施設の従業者が居宅を訪問し、又は居宅介護支援事業者から情報提供を受けることにより、退所者の在宅における生活が 1 月以上(当該入所者が要介護4又は要介護5である場合は 14 日以上)、継続する見込みであること。
【ベッド回転率要件】
・30.4 を入所者の平均在所日数で除して得た数が 0.1 以上であること。
【重度者要件】(以下のいずれかである場合)
・ 算定日が属する月の前3月間における入所者のうち、要介護4又は要介護5である者の占める割合が 35%以上であること。
・ 算定日が属する月の前3月間における入所者のうち、喀痰吸引が実施された者の占める割合が 10%以上又は経管栄養が実施された者の占める割合が 10%以上であること。


 以下、Q & Aより。
○ 在宅強化型の介護老人保健施設

問198 平成24年度介護報酬改定において新設された介護保健施設サービス費(I)の介護保健施設サービス費(ii)又は(iv)を算定する介護老人保健施設(以下、「在宅強化型の介護老人保健施設」という。)における「在宅において介護を受けることとなったものの占める割合」、「30.4 を当該施設の入所者の平均在所日数で除して得た数」、「要介護4及び要介護5の者の占める割合」などの要件については、都道府県への届出を毎月行う必要があるのか。

(答)
 届出内容に変更がなければ毎月の届出は不要である。

問 199 在宅強化型の介護老人保健施設の要件における「算定日が属する月の前 6 月間」及び「算定日が属する月の前 3 月間」とはどの範囲なのか。

(答)
 在宅強化型の介護老人保健施設においては、届出が受理された日が属する月の翌月(届出が受理された日が月の初日である場合は当該月)から算定を開始するものであり、「算定日が属する月の前6月間」又は「算定日が 属する月の前3月間」とは、算定を開始する月の前月を含む前6月間又は前3月間のことをいう。
 ただし、算定を開始する月の前月末の状況を届け出ることが困難である場合は、算定を開始する月の前々月末までの状況に基づき前月に届出を行う取扱いとしても差し支えない。
 なお、在宅復帰・在宅療養支援機能加算及び介護療養型老人保健施設の基本施設サービス費についても同様の取扱いである。


(参考) 平成 24 年 6 月から算定を開始する場合
・算定日が属する月の前6月間...平成 23 年 12 月から平成 24 年 5 月まで
 注:算定を開始する月の前月末の状況を届け出ることが困難である場合は、平 成23年11月から平成24年4月まで
・算定日が属する月の前3月間...平成 24 年 3 月から 5 月まで
 注:算定を開始する月の前月末の状況を届け出ることが困難である場合は、平成24年2月から4月まで

問 200 平均在所日数における退所者には、医療機関へ入院した者も含むのか。

(答)
 医療機関へ入院した者も含む。退所先は問わない。

問 201 平均在所日数の計算方法における「入所者延日数」とはどのように 計算するのか。

(答)
 入所者延日数とは、直近3月間の日々の入所者数(毎日 24 時時点で当該施設に入所中の者(当該施設に入所してその日のうちに退所又は死亡し た者を含む。))を合算したものである。

問202 「在宅において介護を受けることとなったものの占める割合」、「30.4 を当該施設の入所者の平均在所日数で除して得た数」、「要介護4及び要介護5の者の占める割合」などの算出において、短期入所療養介護の利用者についても、入所者に含むのか。

(答)
 短期入所療養介護の利用者は含まない。

問203
 平成24年度介護報酬改定において新設された在宅強化型の介護老人保健施設の要件を満たさなくなった場合は、基本施設サービス費の算定はどのように取り扱うのか。

(答)
 要件を満たさなくなった場合、その翌月は、その要件を満たすものとなるよう必要な対応を行うこととし、それでも満たさない場合には、満たさなくなった翌々月に届出を行い、当該届出を行った月から従来型の介護老人保健施設の基本施設サービス費(介護保健施設サービス費(I)の介護保健施設サービス費(i)又は(iii))を算定する。なお、満たさなくなった翌月末において、要件を満たした場合には、翌々月の届出は不要である。
 また、在宅強化型から従来型の介護老人保健施設の基本施設サービス費を算定することに変更になった場合、在宅復帰・在宅療養支援機能加算の算定要件を満たせば、届出が受理された日が属する月の翌月(届出が受理された日が月の初日である場合は当該月)から在宅復帰・在宅療養支援機能加算を算定できる。

問 204 「在宅において介護を受けることになったもの」とは、退所してそのままショートステイを利用する場合も含むのか。

(答) 「在宅において介護を受けることとなったものの占める割合」の要件は、入所者が在宅において介護を受けることを評価したものであることから、 居宅サービスを利用することは問題ないが、退所後、直接短期入所生活介護又は短期入所療養介護等のショートステイを利用する場合など、実際には在宅で介護を受けないことが見込まれる場合は含まれない。

問 205 在宅強化型の介護老人保健施設の算定要件において、前3月における入所者のうち、喀痰吸引を必要とする者と経管栄養を必要とする者の合計の占める割合が10%以上であれば当該要件を満たすと考えてよいか。

(答) 喀痰吸引を必要とする者が10%以上又は経管栄養を必要とする者が10%以上であることが必要である。

問206 従来型の介護老人保健施設の基本施設サービス費を算定していたが、要件を満たしたため在宅強化型の介護老人保健施設の基本施設サービス費を算定することとなった場合、入所日は、新たに在宅強化型の介護老人保健施設の基本施設サービス費の算定を開始した日となるのか。

(答)
 入所者の入所中に、介護老人保健施設の基本施設サービス費の種類が変更となった場合であっても、当該入所者の入所日は、基本施設サービス費 が変わる前の入所日である。
 なお、短期集中リハビリテーション実施加算等の起算日についても同様 の取扱いとなる。


<感想>
 MSWから、老人保健施設の受入れが厳しくなっていると聞いていたが、その原因が在宅強化型の介護老人保健施設にあるとは気づかなかった。その要件を見てみると、在宅復帰率50%以上(施設内死亡者を除く)、退所後在宅生活期間30日以上(要介護4、5は14日以上)、平均在所日数304日以下、重症入所者(要介護4、5)率35%以上、経管栄養率10%以上ということになる。
 老健施設は、生き残りをかけた対応が迫られている。在宅扱いとなる介護付高齢者住宅、有料老人ホームの併設や連携をする施設が増えると予想する。老健と連携居住施設を往復するような形になれば在宅復帰率クリアは容易となる。また、要介護4、5の在宅患者を、短期入所ではなくミドルスティで受入れることも増えると予想する。
 回復期リハビリテーション病棟も在宅復帰率を求められている。自宅退院できそうな方は自らの病棟から直接帰っていただいた方が良い。したがって、老健施設にお願いする方はいかなる手段を使っても在宅復帰が困難な患者が中心となる。しかし、今後は、同居家族数が少ない、家族介護力がない、家族関係不良、などの問題がある患者は、在宅強化型の介護老人保健施設からは断られる可能性が高い。
 地域連携室担当者のストレスがたまりそうである。労らなくてはと思う。

平成24年度介護報酬改定に関する関係Q&A(2)

 平成24年度介護報酬改定に関する関係Q&A(平成24 年3 月16 日)についてより、通所リハビリテーションについて。


【通所リハビリテーション
リハビリテーションマネジメント加算

問74 新規利用者について通所リハビリテーションの利用開始日前に利用者の居宅を訪問した場合は、リハビリテーションマネジメント加算の算定要件を満たすのか。

(答)
 通所リハビリテーションの利用初日の1月前から利用前日に利用者の居宅を訪問した場合であって、訪問日から利用開始日までの間に利用者の状態と居宅の状況に変化がなければ、リハビリテーションマネジメント加算の算定要件である利用者の居宅への訪問を行ったこととしてよい。

問75 医師又は医師の指示を受けた理学療法士等が利用者の居宅を訪問し、診察、運動機能検査、作業能力検査等を行った場合の加算と、リハビリテーションマネジメント加算は同時に算定できるのか。

(答)
 算定できる。なお、医師又は医師の指示を受けた理学療法士等が利用者の居宅を訪問し、診察、運動機能検査、作業能力検査等を行った場合の加算と訪問リハビリテーション費を同時に算定することはできない。

問76 入院等の理由により、通所リハビリテーションの利用が中断された後、再度、通所リハビリテーションを利用する場合にあっては、再度、利用者の居宅への訪問は必要か。

(答)
 通所リハビリテーションの利用再開後にリハビリテーションマネジメント加算を算定する場合に必ずしも利用者の居宅を訪問する必要はないが、利用者の状態や居宅の状況に変化がある場合は、必要に応じて利用者の居宅への訪問する必要があることが望ましい。

問77 平成24年3月31日以前から通所リハビリテーションを利用していた利用者について、平成 24 年 4 月以降にリハビリテーションマネジメント加算を算定する場合に、利用者の居宅を訪問する必要があるのか。

(答)
 リハビリテーションマネジメント加算を算定する場合には必ずしも利用者の居宅を訪問する必要はないが、利用者の状態や居宅の状況に変化がある場合は必要に応じて利用者の居宅を訪問することが望ましい。

問78 全ての新規利用者について利用者の居宅を訪問していないとリハビリテーションマネジメント加算は算定できないのか。

(答)
 当該加算は利用者ごとに算定する加算であるため、通所開始日から起算して1月以内に居宅を訪問した利用者について算定可能である。

問79 通所リハビリテーションの利用開始後、1月以内に居宅を訪問しなかった利用者については、以後、リハビリテーションマネジメント加算は算定できないのか。

(答)
 算定できない。ただし、通所開始日から起算して1月以内に利用者の居宅への訪問を予定していたが、利用者の体調不良などのやむを得ない事情により居宅を訪問できなかった場合については、通所開始日から起算して1月以降であっても、体調不良等の改善後に速やかに利用者の居宅を訪問すれば、リハビリテーションマネジメント加算を算定できる。

問 80 月4回以上通所リハビリテーションを行っている場合に算定とあるが、週1回以上通所リハビリテーションを行っている場合と解釈してもよいのか。

(答)
 月4回以上の通所リハビリテーションを行うことが必要である。


※ 平成 21 年 Q&A(vol.1)(平成 21 年 3 月 23 日)問 56 は削除する。

問81 自然災害や感染症の発生などにより事業所が一時的に休業し、当初月4回の通所を予定していた利用者へサービスが提供できなくなった場合も、リハビリテーションマネジメント加算は算定できないのか。

(答)
 リハビリテーションマネジメント加算の算定に当たっては、正当な理由があれば、算定要件に適合しない場合であっても算定できる。具体的には、算定要件に適合しない場合であっても、1)やむを得ない理由による場合(ケアプラン上は月4回であるが、利用者の体調悪化で4回受けることができない場合等)、2)自然災害や感染症の発生等により、事業所が一時的に休業等するため、当初ケアプラン上予定していたサービスの提供ができなくなった場合であれば、算定が認められる。

※ 平成21年Q&A(通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算及び個別リハビリテーション実施加算関係)(平成 21 年 4 月 9 日)問1は削除する。

問82 通所リハビリテーションにおいて提供されているリハビリテーションの回数と通所リハビリテーション以外において提供されているリハビリテーションの回数を合算して、月4回を満たす場合には、リハビリテーションマネジメント加算を算定することは可能か。

(答) リハビリテーションマネジメント加算の算定に当たっては、一事業所において月4回の通所リハビリテーションサービスの利用を要件としているところ。ただし、短期入所療養介護事業所により個別リハビリテーションが提供される場合であって、通所リハビリテーション事業所におけるリハビリテーションの提供回数と短期入所療養介護事業所におけるリハビリテーションの提供回数の合計が月4回以上であり、かつ、事業所間で利用者についての情報が共有されて、一体としてリハビリテーションマネジメントが行われている場合には、リハビリテーションマネジメント加算の算定が可能である。


※ 平成21年Q&A(通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算及び個別リハビリテーション実施加算関係)(平成 21 年 4 月 9 日)問2は削除する。


○ 個別リハビリテーション

問 83 「高次脳機能障害(失語症含む)」、「先天性又は進行性の神経・筋疾患」については、月4回以下の利用であっても、個別リハビリテーション加算を算定できることとされたが、その他、どのような場合に個別リハビリテーション実施加算の算定が可能となるのか。

(答)
 通所リハビリテーション事業所の医師の診察内容及び運動機能検査の結果を基に、リハビリテーションの提供に関わる医師、理学療法士作業療法士若しくは言語聴覚士、看護職員又は介護職員等が協働して作成する通所リハビリテーション実施計画において、効果的なリハビリテーションの提供が可能であると判断された場合については、月4回以下の利用であっても、個別リハビリテーション実施加算の算定が可能である。ただし、この場合であっても、個別リハビリテーション実施加算の算定要件を満たす必要がある。


※ 平成21年Q&A(通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算及び個別リハビリテーション実施加算関係)(平成 21 年 4 月 9 日)問4は削除する。

問84 通所リハビリテーションリハビリテーションマネジメント加算と個別リハビリテーション実施加算について、複数事業所でサービスを提供するとき、どのように算定をするのか。

(答)
 通所リハビリテーションは、原則として、一つの事業所でリハビリテーションを提供するものである。ただし、事業所ごとに提供可能なサービスの種類が異なり単一の事業所で利用者が必要とするリハビリテーションの全てを提供できない場合、複数の事業所で提供することも可能である。例えば、脳血管疾患発症後であって、片麻痺と失語を認める利用者に対し、 一つの事業所がリハビリテーションを提供することとなったが、この事業所には言語聴覚士が配置されていないため、失語に対するリハビリテーシ ョンは別の事業所で提供されるというケースが考えられる。
 この場合、リハビリテーションマネジメント加算と個別リハビリテーション実施加算の算定については、A事業所で月4回以上(13回以下)、別の事業所で月4回以上(13回以下)利用していた場合、それぞれの事業所でリハビリテーションマネジメント加算が算定可能であり、個別リハビリテーションの実施状況に応じて、個別リハビリテーション実施加算が算定可能である。


※ 平成21年Q&A(vol.2)(平成21年4月17日)問28は削除する。


○ 保険医療機関において1時間以上2時間未満の通所リハビリテーションを行う場合の取扱い

問85 保険医療機関において、脳血管疾患等リハビリテーション、運動器リハビリテーション又は呼吸器リハビリテーション(以下、疾患別リハビリ テーション)と 1 時間以上 2 時間未満の通所リハビリテーションを同時に行う場合、理学療法士等は同日に疾患別リハビリテーションと通所リハビリテーションを提供することができるのか。

(答)
 次の三つの条件をすべて満たす場合は可能である。
1. 通所リハビリテーションにおける 20 分の個別リハビリテーションに従事した時間を、疾患別リハビリテーションの1単位とみなし、理学療法士等 1 人当たり 1 日 18 単位を標準、1 日 24 単位を上限とし、 週 108 単位以内であること。
2. 疾患別リハビリテーション 1 単位を通所リハビリテーションにおける個別リハビリテーション 20 分としてみなし、理学療法士等 1 人当たり 1 日合計8時間以内、週 36 時間以内であること。
3. 理学療法士等の疾患別リハビリテーション及び通所リハビリテーションにおける個別リハビリテーションに従事する状況が、勤務簿等に記載されていること。

問86 保険医療機関医療保険の脳血管疾患等リハビリテーション、運動器リハビリテーション又は呼吸器リハビリテーションの届出を行っており、当該保険医療機関において、一時間以上二時間未満の通所リハビリテーションを実施する際には、通所リハビリテーションに対する利用者のサービス提供に支障が生じない場合に限り、同一のスペースにおいて行うことも差し支えないこととされているが、通所リハビリテーションを行うために必要なスペースの具体的な計算方法はどうなる のか。

(答)
 1時間以上2時間未満の通所リハビリテーションが提供される時間帯のいずれの時間においても、介護保険の通所リハビリテーションの利用者数と医療保険リハビリテーションを受ける患者数を合算し、これに三平方メートルを乗じた面積以上が確保されていることが必要である。


○ 通所リハビリテーションの所要時間

問87 6時間以上8時間未満の単位のみを設定している通所リハビリテーション事業所において、利用者の希望により、4時間以上6時間未満のサービスを提供し、4時間以上6時間未満の通所リハビリテーション費を算定することができるのか。

(答)
 適切なケアマネジメントに基づき利用者にとって4時間以上6時間未満のサービス提供が必要な場合であれば算定することができる。


※ 平成15年Q&A(vol.1)(平成15年5月30日)通所リハビリテーション のQ1は削除する。


(削除) 次のQ&Aを削除する。
1 平成21年Q&A(vol.1)(平成21年3月23日)問55
2 平成21年Q&A(vol.2)(平成21年4月17日)問22、問26


<感想>
 メモをしながら、Q & Aを読んできたが、流石に細かい。1時間以上2時間未満の通所リハビリテーションは、介護保険利用者が医療保険の患者と混在するような状況を想定している。点数設定をみても、施設やスタッフに余裕がない医療機関向けの規定である。施設規模が大きく、スタッフも豊富なところは手を出さないのではないかと想像する。

平成24年度介護報酬改定に関する関係Q&A(1)

 http://www.pref.miyagi.jp/chouju/newver/information.htm介護保険最新情報をみると、平成24年度介護報酬改定に関する関係Q&A(平成24 年3 月16 日)についてがアップされている。計104枚もある分厚い内容である。まず、通所介護まででリハビリテーションに関係する部分を抜き出す。


訪問介護
○ 生活機能向上連携加算

問12 生活機能向上連携加算について、訪問看護事業所の理学療法士等に、サービス提供責任者が同行する場合も算定要件を満たすか。

(答)
 満たさない。生活機能向上連携加算の算定は指定訪問リハビリテーション事業所の理学療法士等が指定訪問リハビリテーションを行った際にサービス提供責任者が同行した場合に限る。


訪問看護
理学療法士等による訪問看護

問22 理学療法士等による訪問看護は、1回の訪問看護につき1回分の報酬しか算定できないのか。

(答)
 理学療法士等による訪問看護については、20 分以上を 1 回として、1 度の訪問で複数回の実施が可能である。例えば、1 度で 40 分以上の訪問看護を行った場合は 2 回分の報酬を算定できる。

問23 理学療法士等による訪問看護は、1日に2回を超えて行う場合に1回につき 90/100 に相当する単位数を算定するとなっているが、何回行った場合に 90/100 に相当する単位数を算定するのか。

(答)
 1日に3回以上の訪問看護を行った場合に、1日の各訪問看護費の 100分の 90 に相当する単位数を算定する。
(例)
 1日の訪問看護が 3 回以上の場合の訪問看護
 1回単位数×(90/100)×3 回

問24 理学療法士等による訪問看護は、連続して3回以上訪問看護を行った場合だけでなく、午前中に 2 回、午後に 1 回行った場合にも 90/100 に相当する単位数を算定するのか。

(答)
 1日に3回以上行う場合には、連続して行った場合に限らず、1日の各訪問看護費の 100 分の 90 に相当する単位数を算定する。


【訪問リハビリテーション
訪問介護計画を作成する上での指導及び助言を行った場合

問47 訪問介護計画を作成する上での必要な指導及び助言を行った場合の加算を算定する際に、指導及び助言を 40 分以上行った場合、訪問リハビリテーション費は何回算定できるのか。

(答)
 1回のみ算定できる。


○ 別の医療機関からの情報提供に基づく実施

問48 別の医療機関の医師から情報提供を受けて訪問リハビリテーションを実施する場合にどのように取扱うのか。

(答)
 訪問リハビリテーションは、別の医療機関の医師から情報提供を受けた場合であれば実施することができる。この場合、訪問リハビリテーションの利用者(病状に特に変化がない者に限る。)に関し、訪問診療を行っている医療機関が、訪問リハビリテーションを行う医療機関に対し、利用者の必要な情報を提供した場合は、情報の基礎となる診療の日から3月以内に情報を受けた場合に算定できる。この場合の訪問リハビリテーション計画は、情報提供を受けた医療機関の医師の診療に基づき作成されるものであることから、情報を受けた医療機関の医師が診療を行い理学療法士等に訪問リハビリテーションの指示を出す必要がある。
※ 平成15年Q&A(vol.1)(平成15年5月30日)訪問リハビリテーショ ンのQ1は削除する。


リハビリテーション実施計画書

問49 「リハビリテーション実施計画書」の作成に係る具体的な取扱いはどのようになるのか。

(答)
 訪問リハビリテーションは、指示を行う医師の診療の日から3月以内に行われた場合に算定できる。このため、指示を行う医師の診療、実施した訪問リハビリテーションの効果・実施方法等についての評価等を踏まえ、医師の医学的判断に基づき適切に作成され、定期的に見直しを行う必要がある。
※ 平成15年Q&A(vol.1)(平成15年5月30日)訪問リハビリテーショ ンのQ3は削除する。


(削除) 次のQ&Aを削除する。
 平成 15 年 Q&A(vol.1)(平成 15 年 5 月 30 日)訪問リハビリテーションの Q2


通所介護
○ 個別機能訓練加算

問66 個別機能訓練加算IIの訓練時間について「訓練を行うための標準的な時間」とされているが、訓練時間の目安はあるのか。

(答)
 1 回あたりの訓練時間は、利用者の心身の状況や残存する生活機能を踏まえて設定された個別機能訓練計画の目標等を勘案し、必要な時間数を確保するものである。例えば「自宅でご飯を食べたい」という目標を設定した場合の訓練内容は、配膳等の準備、箸(スプーン、フォーク)使い、下膳等の後始末等の食事に関する一連の行為の全部又は一部を実践的かつ反復的に行う訓練が想定される。これらの訓練内容を踏まえて利用日当日の訓練時間を適正に設定するものであり、訓練の目的・趣旨を損なうような著しく短時間の訓練は好ましくない。なお、訓練時間については、利用者の状態の変化や目標の達成度等を踏まえ、必要に応じて適宜見直し・変更されるべきものである。

問67 個別機能訓練加算IIに係る機能訓練指導員は「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を配置すること」とされているが、具体的な配置時間の定めはあるのか。

(答)
 個別機能訓練加算IIに係る機能訓練指導員は、個別機能訓練計画の策定に主体的に関与するとともに、訓練実施を直接行う必要があることから、計画策定に要する時間や実際の訓練時間を踏まえて配置すること。なお、専従配置が必要であるが常勤・非常勤の別は問わない。

問 68 個別機能訓練加算Iの選択的訓練内容の一部と、個別機能訓練加算(II)の訓練内容がほぼ同一の内容である場合、1 回の訓練で同一の利用者が両方の加算を算定することができるのか。

(答)
 それぞれの計画に基づき、それぞれの訓練を実施する必要があるものであり、1 回の訓練で両加算を算定することはできない。

問69 介護予防通所介護と一体的に運営される通所介護において、個別機能訓練加算Iを算定するために配置された機能訓練指導員が、介護予防通所介護の運動器機能向上加算を算定するために配置された機能訓練指導員を兼務できるのか。

(答)
 通所介護の個別機能訓練の提供及び介護予防通所介護の運動器機能向上サービスの提供、それぞれに支障のない範囲で可能である。


※ 平成21年Q&A(vol.1)(平成21年3月23日)問47は削除する。

問70 個別機能訓練加算Iの要件である複数の種類の機能訓練の項目はどのくらい必要なのか。

(答)
 複数の種類の機能訓練項目を設けることの目的は、機能訓練指導員その他の職員から助言等を受けながら、利用者が主体的に機能訓練の項目を選択することによって、生活意欲が増進され、機能訓練の効果が増大されることである。よって、仮に、項目の種類が少なくても、目的に沿った効果が期待できるときは、加算の要件を満たすものである。


※ 平成21年Q&A(vol.1)(平成21年3月23日)問48は削除する。

問71 個別機能訓練加算Iの要件である複数の種類の機能訓練の項目について、準備された項目が類似している場合、複数の種類の項目と認められるのか。

(答)
 類似の機能訓練項目であっても、利用者によって、当該項目を実施することで達成すべき目的や位置付けが異なる場合もあり、また、当該事業所における利用者の状態により準備できる項目が一定程度制限されることもあり得る。よって、利用者の主体的選択によって利用者の意欲が増進され、機能訓練の効果を増大させることが見込まれる限り、準備されている機能訓練の項目が類似していることをもって要件を満たさないものとはならない。こうした場合、当該通所介護事業所の機能訓練に対する取組み及びサービス提供の実態等を総合的に勘案して判断されるものである。


※ 平成21年Q&A(vol.1)(平成21年3月23日)問49は削除する。

問72 通所介護の看護職員が機能訓練指導員を兼務した場合であっても個別の機能訓練実施計画を策定すれば個別機能訓練加算は算定可能か。また、当該職員が、介護予防通所介護の選択的サービスに必要な機能訓練指導員を兼務できるか。

(答)
 個別機能訓練加算IIを算定するには、専従で1名以上の機能訓練指導員の配置が必要となる。通所介護事業所の看護職員については、サービス提 供時間帯を通じて専従することまでは求めていないことから、当該看護師が本来業務に支障のない範囲で、看護業務とは別の時間帯に機能訓練指導員に専従し、要件を満たせば、個別機能訓練加算IIを算定することは可能であり、また、当該看護職員が併せて介護予防通所介護の選択的サービスの算定に必要となる機能訓練指導員を兼務することも可能である。
 ただし、都道府県においては、看護職員を1名で、本来の業務である健康管理や必要に応じて行う利用者の観察、静養といったサービス提供を行いつつ、それぞれの加算の要件を満たすような業務をなし得るのかについて、業務の実態を十分に確認することが必要である。
 なお、個別機能訓練加算Iの算定においては、常勤の機能訓練指導員がサービス提供時間帯を通じて専従することが要件であるので、常勤専従の機能訓練指導員である看護職員が看護職員としての業務を行っても、通所介護事業所の看護職員としての人員基準の算定に含めない扱いとなっている。しかし、介護予防通所介護の選択的サービスの算定に必要となる機能訓練指導員を兼務することは、双方のサービス提供に支障のない範囲で可能である。


※ 平成21年Q&A(vol.1)(平成21年3月23日)問51は削除する。


○ その他

問73 平成24年報酬改定において、個別機能訓練加算Iが基本報酬へ包括化されたが、当該加算の要件である個別機能訓練計画の策定や、機能訓練指導員の 120 分配置の要件を満たすなど、同等程度のサービスを行わなければ基本報酬を算定できないのか。

(答)
 平成 24 年報酬改定前の個別機能訓練加算Iの各算定要件を満たしていなくても、基本報酬は請求可能である。


(削除) 次のQ&Aを削除する。
1 平成18年Q&A(vol.1)(平成18年3月22日)問17、問43
2 平成18年Q&A(vol.5)(平成18年6月30日)問1
3 平成21年Q&A(vol.1)(平成21年3月23日)問46

介護保険減免措置延長についての通知

三重県|高齢者福祉・介護保険:介護保険最新情報(厚生労働省通知)を見ると、平成24年2月9日付 東日本大震災により被災した被保険者の利用者負担等の減免措置に対する財政支援の延長等について(平成24年2月9日) PDF(介護保険最新情報vol.260)がアップされている。

東京電力福島第一原子力発電所事故による警戒区域等の被保険者の取扱い
(1)利用者負担免除措置に対する財政支援
平成25年2月28日まで延長すること(介護保険災害臨時特例補助金平成24年度当初予算(案)))。
・ 利用者負担額を軽減(免除)する事業を新たに創設し、事業に必要な経費の全額を国庫補助(詳細については、追ってお知らせします。)。
(2)保険料減免措置に対する財政支援
平成25年3月分まで延長すること(介護保険災害臨時特例補助金平成24年度当初予算(案)))。
(3)対象者
警戒区域計画的避難区域及び旧緊急時避難準備区域の被保険者並びに特定避難勧奨地点(ホットスポット)に居住しているため避難を行っている被保険者(震災発生後、他市町村に避難のため転出した者を含む。)。


2 その他地域の被保険者の取扱い
(1)利用者負担減免措置に対する財政支援
平成24年9月30日まで延長すること(特別調整交付金の特例措置(※1)により対応。)。
(2)保険料減免措置に対する財政支援
平成24年9月30日まで延長すること(特別調整交付金の特例措置(※1)により対応。)。
(3)対象者
平成23年介護保険災害臨時特例補助金による財政支援の対象となっている者等。


 医療保険利用者負担減免、介護保険利用者負担減免、いずれも延長となった。とりあえず、一安心というところである。