平成27年度介護報酬改定のポイント(メモ)

 平成27年度介護報酬改定に関する答申が出た。第119回社会保障審議会介護給付費分科会資料に、2月6日に行われた第119回社会保障審議会介護給付費分科会資料が示されている。なお、個々の介護報酬改定の内容は、諮問書(PDF:7,284KB)に詳しく載っている。
 今回の介護報酬改訂内容は、参考資料1 平成27年度介護報酬改定に関する審議報告(PDF:809KB)資料1−1 平成27年度介護報酬改定の概要(案)(改)(PDF:892KB)に具体的に記載されているが、資料1−2 平成27年度介護報酬改定の概要(案)骨子版(PDF:2,508KB)の方がより簡潔にまとめられている。今回は、この骨子版をもとに、平成27年度介護報酬のポイントをメモ代わりに整理した。


# ポイント1: 大幅なマイナス改訂


 改訂率は、−2.27%である。しかも、処遇改善、介護サービスの充実分プラスを除くと、−4.48%にもなる。「持続可能性」という言葉は、社会保障制度における給付切り下げの時に必ず使用される魔法の言葉である。言い換えれば、放置すると制度自体が破綻するから多少のことは我慢しろ、ということを意味している。介護事業者が生き残ろうとすると、その痛みは介護職員や利用者に降りかかる。一方で給付を引き下げながら、同時に介護職員の待遇改善と利用者のサービス向上が図ることが可能という厚労省の主張は欺瞞に満ちている。


# ポイント2: 軽度者の介護保険からの切り離し


 中重度の要介護者や認知症高齢者への対応強化が目標と述べているが、実際は、軽度者に対する給付引下げの方が主目的である。
 諮問書の中身を精査するとわかるが、在宅は軒並み引き下げられているが、特に、介護予防通所介護と介護予防通所リハビリテーションの引下げ幅が極端である。

  • 介護予防通所介護(1月あたり): 要支援1 2,115単位 → 1,647単位(−22.1%)、要支援2 4,236単位 → 3,377単位(−20.3%)。
  • 介護予防通所リハビリテーション(1月あたり): 要支援1 2,433単位 → 1,812単位(−25.5%)、要支援2 4,831単位 → 3,715単位(−23.7%)。

 介護予防事業は、通常の介護事業と一体として運用される。今後、要支援1、2の利用者は敬遠される。週2回の利用が週1回に、週1回の利用が隔週ないし利用終了に追い込まれることになりかねない。


 地域における医療および介護の総合的な確保の促進に関する法律の施行を受け、要支援1、2に対する介護予防訪問看護と介護予防通所介護は、順次、市町村が運営する総合事業に移管することが決まっている。第111回社会保障審議会介護給付費分科会資料内にある参考資料1−1 介護予防・日常生活支援総合事業 ガイドライン案(骨子)(PDF:1,326KB)には、下図のようなスケジュールが提示されている。現在のサービスと比べ、総合事業がより低い水準にとどまることが予想される。



# ポイント3: 目標と期間を明確にし終了を前提としたリハビリテーションの推進


 リハビリテーション関連報酬には、新設項目が目立つ。http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=216570で議論された内容が介護報酬改定に反映されている。
 個々の内容については、要件について読み込んで精査する必要がある。ただし、関連職種が集まるリハビリテーション会議を定期的に開催し、目標とそれに到達する期間を明確にし、リハビリテーション終了を前提としてその後のサービスも考えるという姿勢が強調されていることだけは、はっきりしている。感染症や転倒などを原因として容易に要介護状態となってしまう虚弱高齢者や、神経筋疾患・認知症などのように緩徐進行するタイプの疾患では、長期にリハビリテーション専門職が関わる必要性がある。リハビリテーションは一定期間の後に終了しなければならないということだけが強調されると、リハビリテーション専門職のサービスを継続して受けたいという利用者のニーズに応えられない。


# ポイント4: 施設での看取り機能の強化


 今後、死亡者数は119.2万人(2010年)から159.7万人(2030年)へと急増すると予想されていることを受け、厚労省は病院以外での看取り場所の確保に躍起となっている。診療報酬改定での対応に加え、介護保険施設でも看取りを行うことを推進しようとしている。


# ポイント5: 口から食べる楽しみへの支援として観察と会議を評価


 経口維持加算に関して変更があった点は、摂食・嚥下機能に配慮した経口維持計画という表現が、多職種による食事の観察(ミールラウンド)や カンファレンス等の取組のプロセスの評価となっているところである。嚥下内視鏡などより詳細な嚥下機能の評価は施設では求められておらず観察評価のみとなっているが、より多職種が関わる必要が生じている。一方、以前は28単位/日となっていたが、今回は400単位/月となっており、大幅な切り下げになっている。これでは、口から食べる楽しみの支援の充実とは言えない。


# ポイント6: 減収のなかで介護職員待遇改善が可能かのように見せる加算要件


 介護職員処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善を介護事業所は行わなければならない。ある程度の余裕がある事業所は対応することは可能かもしれないが、赤字体質の経営体の場合には不可能である。そもそも、低い介護報酬のため介護職員の待遇が悪くなっているが根本要因である。大幅なマイナス改訂のなかで介護事業所の経営は苦しくなる。人件費増加分のみに使用できる加算で介護職員の待遇改善が可能かのように宣伝することはきわめて問題である。


# ポイント7: サービス適正化という名の介護報酬切り下げ

 サービス適正化という名のもとに以下の項目に関する切り下げが行われる。


 その他、訪問リハビリテーションおよび通所リハビリテーションを同一事業者が提供する場合の運営の効率化、各種サービスにおける人員配置基準の緩和も行われる。


 細かな部分に関して読み込まなければいけないし、今後提示されるであろう疑義解釈等の資料も見なければいけないが、今回の介護報酬改定が事業者および利用者に与える衝撃は著しいものがあることは間違いない。各種サービスを一体として運営している保健医療福祉複合体では、連携の再構築のなかでマイナス部分を少しでも緩和できるが、単体のサービスしか提供していない小規模の介護事業所は存続の危機に立たされる。介護保険制度は様々な問題をはらみながら、介護サービスの基盤整備という面では一定の評価がされてきた。今回の改定において、介護サービス供給量の停滞ないし減少を生じた場合、急速な高齢化に対応できなくなる可能性がある。診療報酬のマイナス改定が医療崩壊の一因となった。同様に、今回の介護報酬マイナス改定の影響で介護崩壊が生じてもおかしくはない。

親族間の殺人は減少、介護殺人への対策が重要

 家族同士の殺し合いが増加 昨年の殺人事件は親族間が53.5%│NEWSポストセブンという刺激的なタイトルの記事があった。

 殺人事件は戦後、1950年代から減少し続け、1990年代以降は1100〜1250件程度とほぼ横ばいで推移、2009年以降はさらに減って1000件以下となった(いずれも検挙件数。警察庁の統計による)。高度経済成長で暮らしが豊かになるのに伴い減少し、その件数に大きな変動がないことがわかる。


 しかし、親子、兄弟、配偶者同士など「親族間」の殺人に目を転じると、事情は異なる。2003年までの過去25年、親族間の殺人は検挙件数全体の40%前後で推移してきたが、2004年に45.5%に上昇。以後の10年間でさらに10ポイント近く上昇し、2012年、2013年には53.5%まで増加した。


 殺人事件(数)全体は減少しているが、親族間の殺人(率)は上昇しているという記載の仕方である。前者と後者の単位が異なっており、親族間の殺人が増加しているという印象操作がなされている。しかし、親族間の殺人率ではなく、殺人数が増えていないと、「家族同士の殺し合いが増加」というタイトルにそぐわない。


 法務省:研究部報告50、無差別殺傷事犯に関する研究、第2章 殺人事件の動向の6ページに以下のような図がある。


 本図を見ると、日本では、殺人認知件数は長期低落傾向にあることがわかる。}˜^¤‘¼ŽE—¦‚̐„ˆÚi‘Û”äŠrjをみても、日本は一貫して他殺率が低下してきており、先進諸国のなかでも低いレベルにあることがわかる。


 法務省研究部資料の8ページに、被疑者と被害者との関係別検挙件数・面識率・親族率の推移の図がある。


 この図をみると、親族関係数は平成16年頃をピークに減少しているが、親族以外の面識ある者の数が急速に低下しているため、殺人の親族率が上がっていることがわかる。


 さらに、同資料の9ページにある下の表をみると、親族間の殺人の動機では、介護・養育疲れが71名中19名となっている。心中企図5名も含めると、親族間殺人の1/4〜1/3が介護・養育問題であることが示唆される。


 最新の警察庁資料、平成25年の犯罪情勢の9ページにある表を一部抜粋したのが、下表である。


 親族間の殺人事件検挙件数は、平成16年の557名から平成25年の459名へと大きく減少しているが、全体の件数が減少しているため、率としては45.5%から53.5%へと伸びていることがわかる。


 介護殺人の現状から見出せる介護者支援の課題(日本福祉大学 湯原悦子)の要旨には、次のような記載がある。

 警察庁も 2007 年以降, 犯罪の直接の動機・原因が 「介護・看病 疲れ」 の事件数を公表している. 2000 年に介護保険が導入されて以降, 介護サービス の充実が目指されているが, これらの調査によれば, 親族による, 介護をめぐって発生 した高齢者の殺害や心中の事件が顕著に減少したという傾向は見られない.


 介護殺人の実態については、下記記載がある。


1)厚生労働省による調査(高齢者虐待防止 |厚生労働省によるもの)

 2011 年 5 月現在, 2006 年度から 2009 年度までの 4 年間の集計結果が公表されており, 事件数および被害者数は, 2006年度は31件32人, 2007年度は27件27人, 2008年度は24件24人, 2009 年度は 31 件 32 人であった.
 事件形態としては 「養護者による被養護者の殺人および心中」60 件 (62 人), 「養護者の介護 等放棄による被養護者の致死」 28 件 (28 人), 「養護者の虐待 (介護等放棄を除く) による被養護者の致死」 16 件 (16 人), 「その他」 6 件 (6 人) であった.


2)警察庁による調査

 警察庁が毎年公表している犯罪統計では, 『平成 19 年の犯罪』以降, 犯罪の直接の動機・原因 が 「介護・看病疲れ」であるものの事件数が示されるようになった. 2007 年には殺人が 30 件, 傷害致死が 2 件, 2008 年には殺人が 46 件, 傷害致死が 5 件, 2009 年には殺人が 17 件, 傷害致 死が 0 件生じている. ただしこの統計には年齢区分がなく, 被害者の年齢を確認することはできない.


 その他、本研究では、新聞記事や判例分析をもとにした調査がなされている。いずれの調査においても、毎年30件前後の介護殺人が起こっていることが示唆されている。さらに、介護殺人の実態を把握し、防止策を検討するために何をすべきかを考察している。


 最初に紹介した記事に戻る。ここでは、次のような記載がされている。

「超高齢化による老老介護」や「長引く不況による経済的困窮」などが背景にあるとされているが、影山任佐(じんすけ)東京工業大学名誉教授(犯罪精神病理学)はもっと根元的な問題だと解説する。


「そもそも家族は他人よりも圧倒的に近い距離にいるため、『なぜわかってくれないのか』と不満を抱きやすい相手。根本にある依存心、甘えが満たされなかったとき、不満が他人相手より増大しやすい」


 少なく見積もっても、親族間の殺人のうち介護殺人は年間30件、率にして最低7、8%となる。親族間の殺人自体が減少傾向にあること、高齢社会において介護殺人が深刻な問題となっていることには、ほとんど言及しておらず、誤解を招く表現となっている。来年度以降、軽度認定者の介護保険はずし、自己負担割合増大、介護報酬引下げなどが目白押しとなっており、介護殺人という悲劇が繰り返される危惧がある。依存心、甘えに主な論点を置く本記事の内容に違和感を覚える。


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要介護要因のなかで脳血管障害の割合が2割を切る

 2014年7月15日、平成25年 国民生活基礎調査の概況が公表された。本調査では、3年に1回、要介護者の状況が報告される。この間、一環して要介護要因の第1位は脳血管障害だったが、ついにその割合が2割を切った。


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 国民生活基礎調査|厚生労働省の中にある平成25年、22年、19年、16年、そして、13年のデータを用いて、介護が必要となった主な原因の構成割合を作成してみると、下表のようになる。


 脳血管障害、認知症、骨折・転倒、関節疾患、高齢による衰弱が10%を超えているのに対し、その他の要因はいずれも5%以下にとどまっている。今後の介護予防対策を図るうえで、この5大要因の重要性は全く変わっていない。
 要介護5大要因中、脳血管障害の割合は一貫して低下している。2013年には18.5%とついに2割を切り、12年前の2001年と比し9.2%の大幅減となった。第2位認知症との差はわずかに2.7%である。このペースでいくと、次回2016年調査では両者の逆転もありうる。
 骨折・転倒と関節疾患は10%強で大きな変化はない。両者を合計すると22.7%となり、ついに脳血管障害を超えてしまった。このような状況をふまえ、公益社団法人 日本整形外科学会のキャンペーンが行われている。
 高齢による衰弱は13%台で大きな変化はない。なお、2001年、2004年には16%台だったが、認知症に関する認識の高まりとともに一部が認知症と診断されるようになったため、その割合が減少したのではないかと考えられる。


 要介護度別の構成割合をみると、5大要因の特徴がみえてくる。


 脳血管障害は、要介護3以上の重度者のなかでの割合が高い。認知症も、要介護1以上で割合が高い。一方、骨折・転倒、関節疾患、高齢による衰弱は軽度者の方で比率が高い。他の要因でみると、心疾患は軽度群に多く、パーキンソン病は最重度群に多い傾向がある。


 脳血管障害の割合低下に関して、最も関係しているのは要介護者の年齢構成変化である。


 上図をみると、要介護者は次第に高齢層にシフトしていることがわかる。生活習慣病予防が進み、若年で脳血管障害になる者が減った一方、高齢で要介護の原因となる認知症の割合が増えたことが両者の構成比が接近した原因であると私は推測している。


 高齢化進行とともに、要介護者数も急増する。要介護となる主要要因をみると、何らかの形でリハビリテーション医療が関わらざるをえないものばかりである。介護予防対策の最前線にリハビリテーション関係者は立っている。

お泊まりデイサービスにおけるフランチャイズ制の問題

 http://www.asahi.com/articles/ASG1D5JJ3G1DULFA00B.htmlで、お泊まりデイサービスの問題が取り上げられた。Webにアップされたのは1面トップになった部分であるが、2面にもかなりの分量の記事がある。概要は以下のとおりである。

  • 通称「お泊まりデイ」が増加
    • 「お泊まりデイ」とは、昼に利用しているデイサービス事業所に、夜も泊まり続けるものである。
    • デイサービス事業所1万ヶ所に聞いたアンケート(1,576事業所が回答)では、8.3%が「宿泊サービス」を提供していた。全国には約3万7千ヶ所のデイサービスがあり、1割近い3千ヶ所ほどが「お泊まりデイ」をしている可能性がある。
  • 「劣悪介護」の危惧
    • 特養、老健、有料老人ホーム、小規模多機能型居宅介護と異なり、介護保険適用外であり、認可の必要性がない。このため、「劣悪介護」になっているのではないかと危惧される。
    • 2011年に東京都、2013年に千葉県が独自の基準を設け、届け出制を取り入れた。大阪府も2012年に基準を作った。厚生労働省はこれまで「お泊まりデイ」を黙認し、実態も把握していなかったが、ようやく2015年度から、介護保険を適用しないものの、基準を作って届出制にしようとしたり、事故報告を義務づけたりすることを検討している。
  • 「お泊まりデイ」提供側の声
    • 「どこにも受け入れてもらえない老人がいるし、家族の負担も重い。現実は社会保障制度のはざまにいる人が多数派だ」。デイサービス大手「茶話本舗(さわほんぽ)」を運営する日本介護福祉グループ(本社・東京)の藤田英明会長は言い切る。
    • 罰則がなく、お泊まりデイサービス協会(加盟73社)の斉藤正行副会長は「基準を守る努力はしているが、引き受けなければ行き場がない高齢者がいる場合は違反覚悟で引き受けることもある」と言う。
    • 「お泊まりデイ」は昼の客を確保するための付録として効果がある。


 調べてみると、http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2012/12/1207.html賛否両論の「お泊まりデイサービス」 厚労省の狙いは規制強化か | オリジナル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準第11回 お泊まりデイはどこにいくのか 基準該当サービスとして制度化検討を « ふくしの樹が見つかった。いずれも、批判的な論調となっている。お泊まりデイサービス業界も自主規制の必要制を感じ、2013年8月28日にhttp://www.otomariday.comを設立している。


 厚生労働省も手をこまねいて見ていた訳ではない。平成23年度デイサービス利用者の宿泊ニーズ等に関する調査事業(モデル事業)の結果について を行っており、自治体、事業者双方から意見を聞いている。そのなかでは、「ショートステイや小規模多機能型居宅介護の整備を進めるべきであり、早急に基準を設け、かつ、介護保険を適用するにせよ、緊急・短期間のサービスであることを強調していくことが必要である」といった趣旨の意見が出ている。


 一方、1980年代から、宅老所やグループホームを先駆的に行ってきたhttp://www.clc-japan.com/takurousyo_net/index.htmlは、2010年10月19日、「宿泊付デイサービス(仮称)」の制度化及び有料老人ホーム」についての要望書を提出し、その中で夜間帯の支援(泊まり)について、次のような経過を述べている。

 夜間帯の支援(泊まり)は自主事業として継続して、お年より本人と介護する家族の状況に合わせた支援を行ってきました。それは、自宅や地域に暮らし続けるためには、お年より本人を支えるだけでは不十分で、介護する家族も併せて支えていくことが最も重要だからです。


 当院周辺にも、「お泊まりデイ」を提供している事業所が増えている。退院先がなかなか見つからない患者を快く受けいれてくれ、かつ、退院後も医療機関との連携を意識して行い、質が保たれているという印象を持っていた。宅老所と同じように、使命感が高い職員が自己犠牲精神で事業を行っているのではないかと考えていた。


 しかし、今回、いろいろと調べているうちに、「お泊まりデイ」事業業者に対するイメージが大きく変わった。朝日新聞に載っている茶話本舗 | デイサービスのパイオニア 株式会社JC-Groupデイサービスなら介護施設[だんらんの家]フランチャイズオーナーも募集中、斉藤正行副会長が代表をつとめるhttp://jcvcg.com/com/のいずれを見ても気づくのは、「フランチャイズ」という言葉である。フランチャイズ加盟店運営者は労働者ではなく、労働基準法が適用されない。昼間、デイサービスで仕事をした後お泊まりをしても問題がない。拡大すればするほど本部の方に入るロイヤルティーが増え、利益があがる。一方、加盟事業所は、無理な労働形態で職員にしわ寄せをするか、利用者に劣悪な環境を我慢してもらうかが迫られる。
 コンビニエンスストアなどと同じ形態で介護事業が行われていることに強い違和感を感じる。現在の「お泊まりデイ」事業所は、宅老所の流れを組む助け合い運動というよりは、介護事業の不備をついた営利業者が活躍する場となっている。今後、都市部を中心に高齢者が急増し*1、高齢者の住まいの問題は深刻になる。避けては通れない課題として、直視する必要がある。
 

患者紹介ビジネスに関する中医協議論

 患者紹介ビジネスに関し、中医協で議論がされた。

 厚生労働省は23日、中央社会保険医療協議会厚労相の諮問機関)の総会を開き、民間業者が患者を医師に紹介して仲介代金を取る「患者紹介ビジネス」を禁止する案を示した。省令を改正し、2014年度から医療機関の紹介料支払いを禁ずる方針だ。

患者紹介ビジネス禁止へ 厚労省、高齢者施設20カ所で確認 :日本経済新聞


 第252回 中央社会保険医療協議会 総会 議事次第内にある在宅医療(その4)について総−3(PDF:5,718KB)129〜173ページが記事のもとになった資料である。
 中医協資料をみると、平成22年(2010年)5月10日付の東京新聞記事が発端のようである。平成23年(2011年)2月15日付で「在宅医療における患者紹介等について」という事務連絡がなされている。平成25年(2013年)2月13日付の中医協でもとりあげられている。


 患者紹介ビジネス問題に再度火がついたのは、朝日新聞のキャンペーンである。朝日新聞デジタル:患者紹介ビジネスに関するトピックスに示すように、2013年8月25日より繰り返し記事として取り上げられている。私の記憶では、一面トップとなった記事が多い。あまりにもタイミングが良すぎるのだが、平成25年(2013年)8月28日付で、「在宅医療における患者紹介等の報告様式について」という事務連絡がなされた結果、全国で20施設の報告が集まり分析がなされている。


 調査結果もふまえたうえで、在宅患者訪問診療料や在宅時医学総合管理料等に関しては、次のような状況になっていると厚労省は判断し、診療報酬改定案を提示している。

  • 1医療機関あたりの担当患者数は年々増加してきており、在宅医療の供給量は増えてきている。
  • 一方で、在宅時医学総合管理料等は月2回以上の定期的な訪問診療(往診を含む。)等で診療時間等に関わらず算定できることから、特に同一建物内における訪問診療において、経済的誘引等により、過剰診療や患者の選択を制限する要因となる可能性がある。
  • 従って、今後は量的な観点のみならず、質的な観点からの充実も更に進めていく必要がある。

在宅時医学総合管理料等については、

  • 在宅時医学総合管理料及び特定施設入居時等医学総合管理料について、訪問診療料と同様に、同一建物かどうかに応じた評価体系とする
  • かかりつけ医機能の確立などの目的もあることから、現在議論している主治医機能のある医療機関の評価との連動を検討するなどが必要であると考えられる。


 さらに、医師1人1日あたりの訪問件数の中央値は2.5件であるが、最大値60件となっている。主として訪問診療料(同一建物)を算定している医療機関の一部で、過度に訪問診療が行われていることが示唆される、という結果になっていることを受け、厚労省は次のようにまとめ、対応案を示している。

  • 訪問1件あたりの診療時間は約半数が20分未満であり、主として訪問診療料(同一建物)を算定している医療機関の一部で、過度に訪問診療が行われていることが示唆されている。
  • また、現状では、「診療時間」「訪問先名」「患者の状態」を記載することや、「患者への情報提供と同意の確認」についても、要件となっていない。
  • 同一建物における訪問診療について一定の減額が行われているが、短時間の診察等であっても在宅患者訪問診療料等が算定可能なため、過剰診療や患者の選択を制限する要因となる可能性がある。
  • 在宅患者訪問診療料については、過剰診療等を防ぐために、患者等への説明と同意を含め、 一定の診療内容による整理が必要と考えられる。


 保険医療機関が患者の紹介を受ける対償として紹介料を支払うことへの対応については、療養担当規則の改正で対応するという方針を出している。

  • 一部の保険医療機関において、在宅医療を要する者が多く入居する施設・住宅から、患者の紹介を受け、紹介料を支払った上で、訪問診療を行っている事例がある。
  • 保険医療機関が患者の紹介を受け、紹介料を支払った上で、訪問診療を行うことについては、患者の保険医療機関の選択の制限や過剰な診療につながる場合は、健康保険法の趣旨からみて不適切である。
  • しかし、保険医療機関が患者の紹介を受け、紹介料を支払うこと自体は、現行制度上は違法とは言えない。
  • 保険医療機関については患者が自由に選択できるものである必要があり、また、健康保険事業の健全な運営を確保する必要があること等から、保険医療機関及び保険医療養担当規則(療養担当規則)の改正等により、保険医療機関が、患者の紹介を行う者に対して、患者の紹介を受ける対償として、紹介料等の経済上の利益を提供することを禁止してはどうか。


 まとめは、次のようになっている。「〜について、どのように考えるか。」という表現は、反対がなければこのような形で規制しますよという厚労省独特の言い回しである。

  1. 不適切な事例等を勘案し、量から質への転換を図るために、同一建物に居住する患者に対する在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料については、訪問診療料と同様に、同一建物かどうかに応じた評価体系とすることについて、どのように考えるか。
  2. 在宅患者訪問診療料の要件について、質の高い訪問診療を確保し、健康保険法等の趣旨からみて、不適切と考えられる事例が生じないようにするために、患者等への説明と同意の確認を行うこととし、また、診療時間、訪問先名、患者の状態等を診療録に記載し、その内容を患者、家族等へ説明することを要件に含めるとともに、同一建物での訪問診療については、診療の実態に応じた適正な評価とすることについて、どのように考えるか。加えて、その対象患者や適切な訪問診療の内容について、どのように考えるか。
  3. 保険医療機関及び保険医療養担当規則(療養担当規則)の改正等により、保険医療機関が、患者の紹介を行う者に対して、患者の紹介を受ける対償として、紹介料等の経済上の利益を提供することを禁止することについて、どのように考えるか。


 最近、当院の近くでも、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が急速に増えている。選択肢が増えることは歓迎すべきだが、嘱託医への紹介が入所の条件となっている。ADLが保たれているような通院患者も訪問診療管理移行となってしまい、医療費の無駄遣いと言われても仕方がないと感じている。
 一連の経過をみると、厚労省朝日新聞出来レースではないかという印象が強いが、悪質な事例が目立ち、黙過できない状況になったのだろう。真面目に在宅医療に関わっている医療機関にとっては、面倒な規制が増えるということになりやりきれない思いになるが、やむをえない事態と考える。紹介ビジネス業者、居住施設、そして、医療機関による金儲け主義のトライアングルが医療保険を歪めているという状況が、少しでも改善することを望む。

社会保障と税の一体改革に向けた「法制上の措置」を閣議決定

 「社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」の骨子について」が閣議決定された。

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 社会保障と税の一体改革に、「社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」の骨子について」を閣議決定しました。(H25.8.21)がアップされている。
 冒頭に次のような文章がある。

 社会保障制度改革推進法(平成24 年法律第64 号)第4条の規定に基づく「法制上の措置」に関し、
(1)同法第2条の基本的な考え方にのっとり、かつ、同法第2章に定める基本方針に基づき、
(2)自らの生活を自ら又は家族相互の助け合いによって支える自助・自立を基本とし、これを相互扶助と連帯の精神に基づき助け合う共助によって補完し、その上で自助や共助では対応できない困窮等の状況にある者に対しては公助によって生活を保障するという考え方を基本に、
 受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため講ずべき改革(以下「社会保障制度改革」という。)の推進に関する骨子について、社会保障制度改革国民会議の審議の結果等を踏まえ、次のとおり定める。
 政府は、本骨子に基づき、社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」として、社会保障制度改革の全体像及び進め方を明らかにする法律案を速やかに策定し、次期国会冒頭に提出する。


 社会保障改革に、社会保障制度改革推進法案(衆法)(平成24年6月20日提出、8月10日成立)の提出時法律案がある。社会保障制度改革推進法第2条第1項は次のようになっている。

 自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと。


 自助と共助を基本として、困窮状態にある者のみ公助で対応するという内容であり、社会保障の枠組を大幅に制限するという考え方に貫かれている。
 関連エントリーで紹介した「社会保障制度改革国民会議報告書の各論部分」の方を見ていただくとより具体的な内容がわかるが、負担増のオンパレードである。生活保護受給者に対するバッシングも著しくなっている。最後のセーフティネットが崩れた状態で、自助・共助の網からもれた者を救い上げることができるのか疑問をもつ。
 2014年度診療報酬改定、2015年度介護報酬改定のいずれも社会保障制度改革推進法の具体化に連動した内容になると予測する。経済的な理由で医療保険介護保険を利用できない方は現在でも少なくない。社会保障制度の形骸化がいっそう進むことにならないか大きな不安を感じる。

社会保障制度改革国民会議報告書の各論部分が明らかに

 政府の社会保障制度改革国民会議報告書の各論部分がまとまった。本報告書の提言を受け、秋の臨時国会社会保障制度改革法案が提案される予定となっている。

 政府の社会保障制度改革国民会議(会長・清家篤慶応義塾長)は二日、報告書案の各論部分を大筋で了承した。介護を必要とする度合いが低い「要支援」(約百三十万人)の人を保険のサービス対象から外し市町村事業に移行することや七十〜七十四歳の医療費窓口負担の一割から二割への早期引き上げ、国民健康保険の運営主体を五年以内に市町村から都道府県に移管することなどを提言した。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013080202000243.html


 東京新聞の表「最終報告案の主な改革メニュー」が分かりやすいので、転記する。


 第19回 社会保障制度改革国民会議 議事次第 平成25年8月2日(金)に原資料がある。資料1−2 各論部分(医療・介護分野)(案)を見ると、次のような構成になっている。

II 医療・介護分野の改革
1 改革が求められる背景と社会保障制度改革国民会議の使命
(1)改革が求められる背景
(2)医療問題の日本的特徴
(3)改革の方向性
2 医療・介護サービスの提供体制改革
(1)病床機能報告制度の導入と地域医療ビジョンの策定
(2)都道府県の役割強化と国民健康保険の保険者の都道府県移行
(3)医療法人制度・社会福祉法人制度の見直し
(4)医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築
(5)医療・介護サービスの提供体制改革の推進のための財政支援
(6)医療の在り方
(7)改革の推進体制の整備
医療保険制度改革
(1)財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保
(2)医療給付の重点化・効率化(療養の範囲の適正化等)
(3)難病対策等の改革
介護保険制度改革


 医療・介護分野の改革総論が1、具体案が2〜4という構成になっている。気にかかった部分をピックアップする。


 2−(1)病床機能報告制度の導入と地域医療ビジョンの策定の部分では、都道府県単位で医療機能の分化を促進することが提案されている。

  • (病床機能報告制度を導入し、)同制度により把握される地域ごとの医療機能の現状や高齢化の進展を含む地域の将来的な医療ニーズの客観的データに基づく見通しを踏まえた上で、その地域にふさわしいバランスのとれた医療機能ごとの医療の必要量を示す地域医療ビジョンを都道府県が策定する。

 


 2−(2)都道府県の役割強化と国民健康保険の保険者の都道府県移行と、3−(1)財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保の部分では、次のことが記載されている。なお、第2項以降は、大企業の健康保険組合および高所得者にとっては大幅な負担増となる部分となっている。

  • 国民健康保険に係る財政運営の責任を担う主体(保険者)を都道府県とする。
  • 後期高齢者支援金に対する負担方法について、健康保険法等の一部改正により被用者保険者が負担する支援金の3 分の1 を各被用者保険者の総報酬に応じた負担とすること(総報酬割)を平成25 年度から2 年間延長する措置が講じられているが、支援金の3 分の2 については加入者数に応じたものとなっており、そのために負担能力が低い被用者保険者の負担が相対的に重くなっていて、健保組合の中でも3 倍程度の保険料率の格差がある。この支援金負担について、平成27 年度からは被用者保険者間の負担の按分方法を全面的に総報酬割とし、被用者保険者間、すなわち協会けんぽと健保組合、さらには共済組合の保険料負担の平準化を目指すべきである。
  • 国民健康保険において、相当の高所得の者であっても保険料の賦課限度額しか負担しない仕組みとなっていることを改めるため、保険料の賦課限度額を引き上げるべきである。同様の問題が被用者保険においても生じており、被用者保険においても標準報酬月額上限の引上げを検討するべきである。
  • 協会けんぽの支援金負担への国庫補助が不要となるが、これによって生ずる税財源の取扱いは、限られた財政資金をいかに効率的・効果的に用いるかという観点から、将来世代の負担の抑制に充てるのでなければ、他の重点化・効率化策と同様に今般の社会保障・税一体改革における社会保障の機能強化策全体の財源として有効に活用し、国民に広く還元すべきである。
  • 多くの非正規雇用の労働者が国民健康保険に加入しているが、被用者保険の適用拡大を進めていく。


 
 2−(3)医療法人制度・社会福祉法人制度の見直しには、次のような記載がある。

  • 医療法人制度・社会福祉法人制度について、非営利性や公共性の堅持を前提としつつ、機能の分化・連携の推進に資するよう、たとえばホールディングカンパニーの枠組みのような法人間の合併や権利の移転等をすみやかに行うことができる道を開くための制度改正を検討する必要がある。


 2−(4)医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築では、次のような提起のあと、認知症高齢者対策、生活支援サービス、住まいなどに関する提案がなされている。なお、要支援者に対する予防給付の見直しについては後述する。

  • 高度急性期から在宅介護までの一連の流れにおいて、川上に位置する病床の機能分化という政策の展開は、退院患者の受入れ体制の整備という川下の政策と同時に行われるべきものであり、また、川下に位置する在宅ケアの普及という政策の展開は、急性増悪時に必須となる短期的な入院病床の確保という川上の政策と同時に行われるべきものである。


 2−(5)医療・介護サービスの提供体制改革の推進のための財政支援では、消費税増収分の活用ということをまず述べた後、次のように記載している。

  • 今般の国民会議で提案される地域ごとの様々な実情に応じた医療・介護サービスの提供体制を再構築するという改革の趣旨に即するためには、全国一律に設定される診療報酬・介護報酬とは別の財政支援の手法が不可欠であり、診療報酬・介護報酬と適切に組み合わせつつ改革の実現を期していくことが必要と考えられる。


 2−(6)医療の在り方では、専門医制度改革、死生観などについて触れられている。

  • 「総合診療医」は地域医療の核となり得る存在であり、その専門性を評価する取組(「総合診療専門医」)を支援するとともに、その養成と国民への周知を図ることが重要である。
  • 超高齢社会に見合った「地域全体で、治し・支える医療」の射程には、そのときが来たらより納得し満足のできる最期を迎えることのできるように支援すること−すなわち、死すべき運命にある人間の尊厳ある死を視野に入れた「QOD(クォリティ・オブ・デス)を高める医療」−も入ってこよう。
  • 国が保有するレセプト等データの利活用の促進も不可欠である。具体的には、個人情報保護にも配慮しつつ、現状は利用者の範囲や使用目的が限定されている使用条件を緩和し、幅広い主体による適時の利活用を促すため、データ提供の円滑化に資する対策を講ずべきである。


 3−(2)医療給付の重点化・効率化(療養の範囲の適正化等)では、次のような記載がなされている。大病院の外来規制、70〜74歳の一部負担金増大など負担増を迫る内容となっている。

  • フリーアクセスの基本は守りつつ、限りある医療資源を効率的に活用するという医療提供体制改革に即した観点からは、医療機関間の適切な役割分担を図るため、「ゆるやかなゲートキーパー機能」の導入は必要となる。(略)紹介状のない患者の一定病床数以上の病院の外来受診について、初再診料が選定療養費の対象となっているが、一定の定額自己負担を求めるような仕組みを検討すべきである。
  • 現在、暫定的に1 割負担となっている70〜74 歳の医療費の自己負担については、現役世代とのバランスを考慮し、高齢者にも応分の負担を求める観点から、法律上は2 割負担となっている。この特例措置については、世代間の公平を図る観点から止めるべき。
  • 高額療養費制度については、(略)、負担能力に応じた負担となるよう限度額を見直すことが必要である。
  • 患者の自己負担について「年齢別」から「負担能力別」へ負担の原則を転換するなど、中長期的に医療保険制度の持続可能性を高める観点から、引き続き給付の重点化・効率化に取り組む必要がある。


 3−(3)難病対策等の改革では、次のような記述がある。

  • 医療費助成については、消費税増収分を活用して、将来にわたって持続可能で公平かつ安定的な社会保障給付の制度として位置づけ、対象疾患の拡大や都道府県の超過負担の解消を図るべきである。
  • ただし、社会保障給付の制度として位置づける以上、公平性の観点を欠くことはできず、対象患者の認定基準の見直しや、類似の制度との均衡を考慮した自己負担の見直し等についてもあわせて検討することが必要である。


 4 介護保険制度改革、および、2−(4)医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築では、以下のような記載がある。

  • 介護保険給付と地域支援事業の在り方を見直すべきである。地域支援事業については、地域包括ケアの一翼を担うにふさわしい質を備えた効率的な事業(地域包括推進事業(仮称))として再構築するとともに、要支援者に対する介護予防給付について、市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組等を積極的に活用しながら柔軟かつ効率的にサービスを提供できるよう、受け皿を確保しながら新たな地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていくべきである。
  • 介護保険制度では利用者負担割合が所得水準に関係なく一律であるが、制度の持続可能性や公平性の視点から、一定以上の所得のある利用者負担は、引き上げるべきである。
  • 補足給付に当たっては資産(ストック)も勘案すべきである。また、低所得と認定する所得や世帯のとらえ方について、遺族年金等の非課税年金や世帯分離された配偶者の所得等を勘案するよう、見直すべきである。
  • 特別養護老人ホームは中重度者に重点化を図り、併せて軽度の要介護者を含めた低所得の高齢者の住まいの確保を推進していくことも求められている。
  • デイサービスについては、重度化予防に効果のある給付への重点化を図る必要があろう。
  • 今後の高齢化の進展に伴う保険料水準の上昇に対応するため、低所得者の第1 号保険料について基準額に乗じることにより負担を軽減している割合を更に引き下げ、軽減措置を拡充すべきである。


 財政面でいうと、皆保険制度維持の意味で大企業の健康保険組合や高額所得者に対する応分の保険料負担を求める部分は評価できる。一方、消費税増大分を社会保障にあてるという主張が繰り返しなされている。高齢者社会進行とともに消費税税率引き上げやむなしという方向に、世論を誘導しようとしている。また、低所得者に対する配慮が必要という記載もされているが、70〜74歳の高齢者の医療費自己負担増は受診抑制につながる。介護保険の要支援者に対する予防給付見直しは、財政基盤の厳しい自治体では実質的な介護保険はずしとなる。経済的問題で介護サービスを受けることのできない虚弱高齢者の生活不活発病悪化が懸念される。
 自公政権が衆参両院で過半数を占めている状況を考えると、社会保障制度改革国民会議報告書どおりの改革が行われる可能性はきわめて高い。生活に関わる重要な内容ではあるが、先日行われた参議院選挙ではマスメディアはほとんどとりあげていない。ネットで検索しても、重大なニュースとして取り上げられてはいない。昨日の麻生財務相の発言ではないが、喧噪に紛れて十分な国民的理解および議論のないままに進んでしまった悪しき例になりかねないという危惧を抱く。