リハビリテーション実績指数27未満で6単位超え包括化規定は残っている

 今回の診療報酬改定において、回復期リハビリテーション病棟入院料は3段階から6段階に細分化された。入院料1と2、3と4、そして、5と6はリハビリテーション実績指数によって差がつけられている。リハビリテーション実績指数の基準は、従来の27以上から、入院料1で37以上、入院料3と5で30以上に引き上げられている。

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 図表を見る限り、回復期リハビリテーション病棟入院料2、4、6ではリハビリテーション実績指数算定は不要のように思える。しかし、改定資料を読むと、リハビリテーション実績指数27未満で6単位超えの疾患別リハビリテーション料が包括化されるという規定はしっかり残っていることが判明する。

 

 平成30年度診療報酬改定説明会(平成30年3月5日開催)資料等について |厚生労働省、平成30年度診療報酬改定関係資料、III-1 通知その02-1、特定8〜12ページに回復期リハビリテーション病棟入院料関係の通知がある。実績指数については、次のような記載がされている。

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 (中略)

 

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 充実加算廃止で消えたと思った規定が実は生き残っていた。回復期リハビリテーション病棟入院料2、4、6にとどまる場合でも、リハビリテーション実績指数の算定は不可欠である。厚労省の説明資料だけ見ていると誤認が生じる。不適切な資料と言わざるをえない。この規定に気づかずに6単位以上の疾患別リハビリテーション料が包括化されるということがないように、厚労省自らがもっと注意喚起を行うべきではないかと思う。

早期離床・リハビリテーション加算の新設

 今回の診療報酬改定において、特定集中治療室管理料に早期離床・リハビリテーション加算が新設された。

 平成30年度診療報酬改定説明会(平成30年3月5日開催)資料等について |厚生労働省○平成30年度診療報酬改定の概要(医科1)  の46ページに関連する項目がまとめられている。

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 平成30年度診療報酬改定について |厚生労働省のなかにある診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(告示)、別表第1(医科点数表)、第1章、入院料等PDFのA301特定集中治療室管理料の注4に次の記載がされている。疾患別リハビリテーション料が包括されていることがわかる。

 

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 平成30年度診療報酬改定説明会(平成30年3月5日開催)資料等について |厚生労働省II-1 通知その02-1 [4,607KB]の特定-3-には、早期・リハビリテーション加算に関し、次のように記載されている。 

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 施設基準の詳細は、III-1 通知その05-1 [4,574KB]のなかに次のように記載されている。

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 別添7の様式42の3は、II-1 通知その05-4 [3,575KB]のなかにある。

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 疾患別リハビリテーション料は包括されているが、1日500点という点数を考えると、本加算を積極的に算定する医療機関が増加すると予測する。様々な条件があるが、医師、看護師は新たな研修が必要な訳ではなく、PT・OTの要件も厳しくない。

 問題は、関係学会等の指針に基づく早期・リハビリテーションに関するプロトコルである。ガイドライン|日本集中治療医学会を見ると、集中治療における早期リハビリテーション ~根拠に基づくエキスパートコンセンサス~(2017/3/16)が既に提案されている。一方、日本リハビリテーション医学会の方でも、日本急性期リハビリテーション医学会の設立が予定されている。リハビリテーション医療の専門家集団として、集中治療だけでなく、急性期全体に関する具体的なリハビリテーション指針を学会の責任として提起する必要がある。今回の特定集中治療室管理料早期・リハビリテーション加算が議論活性化のきっかけとなることを望む。

診療報酬・介護報酬同時改定資料ほぼ出そろう

 平成30年度診療報酬改定について |厚生労働省厚労省HP上にアップされ、診療報酬・介護報酬同時改定資料がほぼ出そろった。備忘録として、重要資料のありかをまとめる。

 

 平成30年度診療報酬改定について |厚生労働省のなかで、第2 改定の概要の1.個別改定項目についてに関しては、中医協の答申以降繰り返し使用されている資料であり、診療報酬改定の概要がまとめられている。その下にある2.平成30年度診療報酬改定説明会(平成30年3月5日開催)資料等についてのなかに、より詳細な分析をするうえで必要な資料がある。

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 平成30年度診療報酬改定説明会(平成30年3月5日開催)資料等について |厚生労働省を見ると、まず、説明会資料というものが出てくる。赤い四角で囲んだところが、医科に関係する資料である。

 

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 再び、平成30年度診療報酬改定について |厚生労働省に戻り、第3 関連法令等、【省令、告示】(それらに関係する通知、事務連絡を含む。)を見ると、医科点数表などがここに掲載されていることがわかる。

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  その下に、診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(告示)や基本診療料・特掲診療料の施設基準に関する告示・通知が掲載されているが、その中身を読む際には、先に示した医科点数表などに戻って注の内容などを確認しないと意味が通じない。

 

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 再度、平成30年度診療報酬改定説明会(平成30年3月5日開催)資料等について |厚生労働省に戻る。

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 通知という項目がずらっと並んでいる。実は、これらの項目は、先に示した診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)や基本診療料・特掲診療料の施設基準に関する通知である。ただし、修正内容が色をつけて記載されているため、改定項目にしぼって、内容を確認するためには、こちらの方が有用である。

 

 一方、介護報酬改定に関しては、だいぶ前、平成30年1月26日に改定内容が呈示されている。訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションなどは、診療報酬・介護報酬両方の改定資料を見比べないといけない。

www.mhlw.go.jp

 

 今後、リハビリテーション総合実施計画書などの文書様式の改定や種々の細かな注意点を確認しながら、適切な請求ができるように医療・介護現場での対応作業が急ピッチで行われる。医療機関・介護事業所の経営を守りながら、質の高いサービスを提供するために必要ではあるが、手間のかかる作業である。隔年で憂鬱な3月が来るのはわかっているが、未だに慣れない。

実績指数管理に関する留意事項

 今回は、実績指数管理について検討する。

 平成29年10月25日に行われた中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省の個別事項(その5)について(PDF:2,048KB)のなかに、リハビリテーションに関する検討事項がまとめられている。なお、元になった資料は、平成30年1月25日に行われた中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省内にある、(6)回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価の導入の影響、維持期リハビリテーションの介護保険への移行状況等を含むリハビリテーションの実施状況調査報告書(PDF:1,310KB)である。なお、本資料の調査用紙は、中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会審議会資料 |厚生労働省内にある、平成28年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成29年度調査)の調査票案について検-1(PDF:12,396KB)である。

 

 実績指数の評価については、以下の図のとおりである。

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 回復期リハビリテーション病棟に関する課題と論点(案)は、以下のようにまとめられている。

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 一番上にアウトカム評価(実績指数)の課題が記載されている。それぞれの項目について、該当する資料がある。

 

 入院料1算定病棟の約8割が一定のリハビリテーション提供実績(1日6単位以上等)があり、そのほぼ全てが実績指数27以上であったことは下図に示されている。

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 回復期リハビリテーション病棟の平均在院日数、在宅復帰率、日常生活機能評価の改善割合がいずれも平成27年より改善していたことは、以下に示されている。

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 実績指数が高いほど、平均在院日数は短く、在宅復帰率は高くなる傾向が認められたことに関しては、下図に示されている。

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 実績指数の値と患者の平均年齢、入棟時FIM(運動項目)の平均値とには相関関係が認められないとの記載に関係する図は以下のとおりである。

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 回復期リハビリテーション病棟にアウトカム評価を導入したことを検証したが、効果があったという結論となっている。ただし、中医協の調査は、多変量解析ではなく交絡因子の調整が行われていない。したがって、因果関係の有無について留保する必要がある。

  いずれにせよ、本調査をふまえ、よりアウトカム評価を推進するために、新回復期リハビリテーション病棟入院料1では、実績指数の平均値に近い37が新たな基準として、設定された。この実績指数をクリアするために、どのような管理をすべきかが問題となる。

 

 まとめでは言及されていない図が2つある。

 同一月に入院した患者でも、短期間で早く改善する者と時間をかけて良くなる者がいる。前者を多く集めている病棟だと実績指数は上がりやすいが、後者が多いと実績指数は低めに出ることが予想される。

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 疾患群ごとにも特徴がある。箱ひげ図を見ると、廃用症候群で実績指数が低値となっている。廃用症候群の患者にはもともと要介護のものが多いためではないかと推測する。疾患群内でも幅があり、患者によって差があることを認識する必要がある。

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  経験的には、実績指数管理に関しては次のような留意事項があると考えている。

  •  リハビリテーション適応が適切に判断されているか。
  •  急性期病院との連携がスムーズに行われ、リハビリテーション効果が上がりやすい早期に入棟しているか。
  •  集中的なリハビリテーションが提供されているか。
  •  退院調整がスムーズに行われ、早期退院が図られているか。
  •  在宅復帰の場合、適切な在宅サービス提供がなされているのか。

 上記が総合的に行われていれば、FIM運動項目増加が図られ、かつ、在院日数が短縮するため、実績指数は高くなる。

 一方、リハビリテーションの質がさほど高くなくても、実績指数を上げることはできる。例えば、次のような場合である。

  •  リハビリテーション適応があっても、FIM運動項目が上がりそうではない場合には選別してとらず、上がりそうな患者だけ選んでとる。
  •  退院調整を十分せず、機械的に入院期間を決め、短期間で退院させる。

 

 実績指数が高い病棟=リハビリテーションの質が高いとは一概には言えない。どう考えても、実績指数を引き下げる可能性があるが、専門的施設の矜持にかけて受け入れざるをえない患者はそれなりにいる。必要に応じて、除外規定を上手に使いながら、経営を守る視点から高めに設定し直された実績指数をクリアするために工夫をする必要がある。

回復期リハビリテーション病棟入院料の改定内容

 平成30年度診療報酬改定答申が、2018年2月7日に出された。

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 上記資料のなかで、医科にとって重要なものは、個別改定項目が記載されている総-1(PDF:1,778KB)、新たな入院料の評価体系についての図が示されている総-1参考1(PDF:555KB)、そして、変更された部分のみだが新たな診療報酬点数表が記載されている別紙1-1(医科診療報酬点数表)(PDF:2,686KB)である。

 このなかで、総-1参考1(PDF:555KB)の図を主に用い、回復期リハビリテーション病棟入院料に関する改定についてまとめてみる。

 

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 現在、3段階に分けられていた回復期リハビリテーション病棟入院料は、実績指数をもとにそれぞれ2つに分けられ、計6段階となる。一方、充実加算は廃止される。

 

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 改定前の回復期リハビリテーション病棟入院料1においては、以下の項目を満たさないといけず、定期的なモニタリングが必要となっている。

 

# 入院時評価

  • 日常生活機能評価に基づく重症患者割合: 10点以上が3割以上
  • 一般病棟用の重症度、看護・医療必要度A項目: 0.5割以上

# リハビリテーション提供体制

# 退院時評価

  • 重症患者回復病棟加算要件: 3割以上が4点以上改善
  • 在宅復帰率: 7割以上
  • 実績指数: 27以上(27未満だと1日6単位を超えるリハビリテーションは入院料に包括)

 

 今回の診療報酬改定では、上記のうち、一般病棟用の重症度、看護・医療必要度A項目と充実加算に関する規定が削除された。また、在宅復帰率も現在の入院料1に相当する新入院料1、2では7割で据え置きになり、入院料2に相当する新入院料3、4では6割から7割に引き上げられている。

 一方、実績指数は、新回復期リハビリテーション病棟入院料1において、27から37に大きく引き上げられた。同入院料3、5においても27から30となった。

 

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 在宅復帰率の要件も変更され、上図に示すとおり、分母から一般病棟への転棟・転院が全て除外されることになった。結果として、在宅復帰率は上げやすくなった。特に一般病棟を持つ医療機関にとってはメリットが多い。

 

 以上をまとめると、次のようになる。

  •  回復期リハビリテーション病棟入院料1の後継である新入院料1、2に関しては、実績指数以外、大きな変更はない。実績指数37をクリアできるかどうかが問題となる。在宅復帰率はむしろ緩和されている。
  •  新入院料3、4に関しては、在宅復帰率の7割への引き上げをクリアできるかどうかがまず課題となる。一方、重症患者割合、重症患者回復病棟加算要件をクリアできれば、新入院料2以上への転換も見据えることができる。
  •  新入院料5、6に関しても、実績指数による評価が加わった。

 

 次のエントリーにおいて、中医協が行った診療報酬改定の結果検証に係る特別調査をもとに、実績指数管理についてさらに深めることにする。

回復期リハビリテーション病棟における栄養管理の推進

 今回の診療報酬改定において、回復期リハビリテーション病棟における栄養管理の推進が図られることになった。

 

 2018年1月26日に開催された中医協総会の資料、個別改定項目(その1)総-1(PDF:1,709KB)の120〜124ページに、回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系の見直し、という項がある。具体的内容の3番目に、栄養管理の推進が取り上げらている。

3.回復期リハビリテーション病棟において、患者の栄養状態を踏まえたリハビリテーションリハビリテーションに応じた栄養管理の推進を図る観点から、一部の入院料について、以下の対応を行う。

(1)  回復期リハビリテーション病棟入院料1について、管理栄養士が、リハビリテーション実施計画等の作成に参画することや、管理栄養士を含む医師、看護師その他医療従事者が計画に基づく栄養状態の定期的な評価や計画の見直しを行うこと等を要件とする。

(2)  回復期リハビリテーション病棟入院料1について、当該病棟に専任の常勤管理栄養士が1名以上配置されていることが望ましいこととする。

 

[算定要件]
 (1) リハビリテーション実施計画又はリハビリテーション総合実施計画の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえた計画を作成すること。なおその際、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書における栄養関連項目(※)については、必ず記載すること。

 (※) リハビリテーション実施計画書及びリハビリテーション総合実施計画書に、栄養状態等の記入欄を追加。

 (2) 管理栄養士を含む医師、看護師その他医療従事者が、入棟時の患者の栄養状態の確認、当該患者の栄養状態の定期的な評価及び計画の見直しを、共同して行うこと。

 (3) 栄養障害の状態にある患者、栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれる患者その他の重点的な栄養管理が必要な患者については、栄養状態に関する再評価を週1回以上行うこと。

 

(3) 回復期リハビリテーション病棟入院料1について、リハビリテーションの実施に併せ、重点的な栄養管理が必要な患者に対する管理栄養士による個別の栄養管理を推進する観点から、入院栄養食事指導料を包括範囲から除外する。

 

 2017年10月25日に行われた中医協で、個別事項(その5)について(PDF:2,048KB)が提出されている。回復期リハビリテーション病棟における栄養管理に関係する資料は以下のとおりである。

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 この後、回復期リハビリテーション病棟における栄養管理の例をはさんで、次のような成果が提示されている。

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 最後に、管理栄養士(病棟専従)数が0.3人で、専従配置率が22.2%に過ぎないことが示されている。

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 今回の改定では、「専従」ではなく、「専任」配置となっており、しかも、努力規定にとどめている。明確に変わるのは、リハビリテーション総合実施計画書の書式である。また、入院栄養食事指導料も包括範囲から除外される。

 経営的なインパクトは決して大きくないが、小さく産んで大きく育てる、という厚労省の志向を考えると、数年後には管理栄養士の「専従」ないし「専任」配置は義務づけられるのではないかと推測する。

 リハビリテーション栄養の普及につながる、歓迎すべき改定である。

 

回復期リハビリテーション病棟入院料の再編・統合の概要

 平成30年診療報酬改定の概要が、徐々に明らかになってきた。

www.mhlw.go.jp

 

 2018年1月26日に開催された中医協総会の資料、「個別改定項目(その1)について」を見ると、細かな数値はまだ入っていないが、具体的な改定内容が記載されている。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf

 

 今回は、回復期リハビリテーション病棟入院料の再編・統合について、まとめる。

 総-1参考(PDF:313KB)を見ると、次のようなイメージ図が提示されている。

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 スタッフ体制などを除けば、実績をもとに、回復期リハビリテーション病棟入院料は現在の3段階から6段階に細分化される。しかし、よく見てみると、これまでの入院料がそれぞれ実績指数で2つに分けられただけであることがわかる。

 

 回復期リハビリテーション病棟入院料の実績に関する指標は、これまでは以下の5つだった。

  • 日常生活機能評価に基づく重症割合
  • 一般病棟用の重症度、看護・医療必要度A項目
  • 重症患者回復病棟加算要件
  • 在宅復帰率
  • 実績指数

 このうち、一般病棟用の重症度、看護・医療必要度A項目に関しては、今回、診療報酬要件から削除となった(参考:総-1(PDF:1,709KB)96ページ)。また、日常生活機能評価に基づく重症割合と重症患者回復病棟加算要件は、手をつけられていない。したがって、変更となったのは、在宅復帰率と実績指数とになる。この2項目のうち、どちらがより重要かとなると、在宅復帰率である。他の要件とあわせ、在宅復帰率要件を満たすかどうかで、新回復期リハビリテーション病棟入院料1・2、入院料3・4、入院料5・6がまず規定される。そのうえで、実績指数をふまえ、入院料1と2、3と4、5と6に細分化される。

 

# 在宅復帰率の要件見直し

 在宅復帰率の要件に係る見直しのイメージ図は下記のとおりである(参考:総-1(PDF:1,709KB)14〜19ページ)。

<現行>

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<見直し案>

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 回復期リハビリテーション病棟に関する見直し案では、次のように変更されている。

 分子: 有床診療所(介護サービスを提供している医療機関に限る)と介護療養病床の後継として作られる介護医療院とが新たに含まれる。

 分母: 現行では、除外項目としては、死亡退院・再入院患者のほかは、急性増悪等による他医療機関への転院患者しかなかった。なお、現行の図で転棟患者(自院)が含まれるようになっているが、間違いである。一方、見直し案では一般病棟への転棟・転院が全て含まれる。

 上記要件の変更により、分母から除外される項目が増え、結果として、在宅復帰率は上げやすくなる。特に一般病棟を持つ医療機関にとってはメリットが多い。

 

 では、実際にどの程度の在宅復帰率が設定されるのかが問題となる。

 2018年1月26日に行われた中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省の議事次第の中にある(6)回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価の導入の影響、維持期リハビリテーションの介護保険への移行状況等を含むリハビリテーションの実施状況調査報告書(PDF:1,310KB)を見ると、次のような数値が紹介されている。

 

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 回復期リハビリテーション病棟入院料1では、平均値・中央値とも80%を超えており、入院料2も同様である。これらのことを考慮すると、新入院料1・2は70%→80%への引き上げがほぼ確実ではないかと予想する。新入院料3・4も、60%→70%となるのではないかと推測する。

 

# 実績指数の見直し

 2017年10月25日に行われた中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省の資料の中に、個別事項(その5)について(PDF:2,048KB)がある。本資料の中に、実績指数の分布図がある。

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 また、(6)回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価の導入の影響、維持期リハビリテーションの介護保険への移行状況等を含むリハビリテーションの実施状況調査報告書(PDF:1,310KB)の方を見ると、次のような数値が紹介されている。

 

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 以上を見ると、回復期リハビリテーション病棟入院料1の実績指数は、平均値。中央値とも35を超えている。これらのことを考慮すると、実績指数は現行の27より大幅に引き上げられ、35ないし36程度になるのではないかと推測する。

 

 いずれにしろ、現在、回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定している医療機関は、新しい基準に基づき在宅復帰率を算定し直すとともに、実績指数をより高めにするために様々な工夫をすることが迫られることになる。